読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

イヴ・ボヌフォワ『マラルメの詩学』(原著 1976,1992,1995,1996 訳:阿部良雄+菅野昭正 筑摩書房 2003)

法悦(エクスターズ)が〔人間を〕有限から解放していた。ところがその有限が法悦への道なのであった。
(「最後の小筺の鍵」より)

中世の楽天的な象徴的構造の世界から科学の光によって分離されてしまった近代の有限で相対的な世界のなかで、有限を超えた無限と偶然を超えた絶対に一致する世界を言語によって招来させようとしたマラルメの詩的営為に、20世紀フランス最高峰の詩人であり散文家でもあるボヌフォアが肉薄していく批評的論考。重さと軽さの境が曖昧となる現代文学の領域に気づいた時には連れていかれている。

www.chikumashobo.co.jp

【目次】
マラルメ詩学
最後の小筺の鍵
唯一無二の人とその対信者
軽少なるものの黄金
マラルメと音楽家

【付箋箇所】
30, 36, 39, 44, 47, 84, 107, 112, 132, 144, 145, 150, 172, 186, 272, 286

イヴ・ボヌフォワ
1923 - 2016

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阿部良雄
1932 - 2007

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菅野昭正
1930 -2023

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