ジャン=リュック・ナンシーの『無為の共同体』を受けて書かれたブランショの共同の不可能性とともにある共同をベースにした共同体論。アセファル期のバタイユを中心として論じた「否定的共同体」と、デュラスの『死の病』と1968年5月の蜂起について書かれた「恋人たちの共同体」からなる原著に、詳細な訳注と訳者の「ブランショと共同体」と題する渾身のエッセイを添えてまとめられた一冊。
他なるもののなかにあってはじめて存在しうる私についての思考。
存在の果てまで行くには他なるものが必要であるという確認。
尺度を超えた交流の可能性、新たな関係についての可能性をめぐっての論考。
バタイユとデュラスのテクストにブランショが論究していくという文学側よりのこのエッセイは、より現実的で具体的なケースに沿った、不穏で未踏な領域にまで至る共同性とコミュニケーションについて考察を深めている。
【目次】
1 否定的共同体
2 恋人たちの共同体
訳註
ブランショと共同体―あとがきに代えて
付録
遺産なき共産主義
ビラ・ステッカー・パンフレット
モーリス・ブランショ
1907 - 2003
西谷修
1950 -
ジャン=リュック・ナンシー
1940 - 2021