読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ジェラール・ドゥニゾ『50の傑作絵画で見る聖書の世界』(原著 2015, 訳:遠藤ゆかり 創元社 2023)

『50の傑作絵画で見る神話の世界』お姉妹篇。

聖書と絵画の組み合わせ企画の類書はかなり多いなかで作品50点での構成というのはすこし少ないかもしれないが、一枚の作品解説にかける分量が多いので、作品ごとに見るべき特徴を幅広く押さえている。「最後の審判」ではなく「ヨハネの黙示録」で終わるというところも珍しい。

『50の傑作絵画で見る神話の世界』にも見られる傾向だが、背景描写や画面周辺の描写が作品に与える影響について繰り返し取り上げていることが多く、ひとつの作品が作り上げている世界の広さと奥行きを感じ取れるように導いてくれている。ひとつの作品をゆっくりと見ることに力を貸してくれる著作となっている。

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【目次】

序文
旧約聖書
創世記
天地創造 ミケランジェロ
人類創造 ミケランジェロ
楽園を追われるアダムとエバ マザッチオ
アベルの殺害 ティツィアーノ/ノヴェッリ
大洪水 プッサン
ノアの箱舟 サン=サヴァン=シュル=ガルタンプ修道院付属教会のフレスコ画
ノアの泥酔 ベッリーニ
バベルの塔 ピーテル・ブリューゲル(父)
ソドムとゴモラ(ロトの逃避) ラファエロ
イサクの犠牲 カラヴァッジョ/レンブラントシャガール
説教のあとの幻影(ヤコブと天使の闘い) ゴーギャン
ヤコブエサウの和解 ルーベンス

出エジプト記
川から救われるモーセ ヴェロネーゼ
燃える柴 フロマン
エジプト第5の災い ターナー/マーティン
紅海を渡る シャガール
律法の石板を見せる シャンパーニュ
金の子牛のまわりで踊る人々 レイデン

士師記
サムソンとデリラ モロー

サムエル記
ダビデとゴリアト ティツィアーノ/ヴーエ

列王記
ソロモンの審判 プッサン
シェバの女王 フランチェスカ

ユディト記
ホロフェルネスの首を斬るユディト カラヴァッジョ/クリムト

ダニエル書
スザンナと長老たち バッサーノ/シャセリオー

新約聖書
福音書
受胎告知 ダ・ヴィンチ/カラヴァッジョ
聖母の訪問 ギルランダイオ
預言者イザヤとエゼキエルがいるキリスト降誕 ブオニンセーニャ
東方三博士の礼拝 ファブリアーノ
エジプトへの逃避 レンブラント
幼児虐殺 グイド・レーニ
6人の天使にかこまれた荘厳の聖母 チマブーエ/ボッティチェッリラファエロ
キリストの洗礼 フランチェスカ
カナの婚礼 ボンドーネ
キリストの変容 ラファエロ
善きサマリア人 ゴッホドラクロワ
エスエルサレム入城 ボンドーネ
神殿から商人を追いだすイエス ヨルダーンス
キリストと姦淫の女 プッサン
最後の晩餐 ダリ/ダ・ヴィンチ
オリーブ山のキリスト マンテーニャ/グレコ
ユダの裏切り ヴィックのフレスコ画
キリストの鞭打ち フランチェスカ
キリストの磔刑 グリューネヴァルト/ドニ/ペルジー
ピエタ カルトン
キリストの復活 メムリンク
キリストの昇天 ペルジー

使徒言行録
パウロの回心 カラヴァッジョ
聖霊降臨 グレコ

ペトロの手紙
最後の審判 ミケランジェロ/ウェイデン

ヨハネの黙示録
叛逆天使の墜落 ピーテル・ブリューゲル(父)