読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

スティーヴン・ホーキング+レナード・ムロディナウ『ホーキング、宇宙のすべてを語る』(原書2005, 訳書2005)

物理学者にとっては宇宙のモデルとして数式のほうがリアルなんだろうが、一般読者はその数式から導き出されるイメージを自然言語に翻訳してもらわないことには悲しいことに何もわからない。本書はホーキングとムロディナウによって一般層になるべくわかりや…

柄谷行人 「「アメリカの息子のノート」のノート」(1968, 『柄谷行人初期論文集』2002, 『思想はいかに可能か』2005)

コロナ禍の下、アメリカでの差別抗議デモが広がるなかで、初めて手に取ったデビュー以前の柄谷行人の論文集のジェームズ・ボールドウィン論に立ち止まる。 たとえば、いま現に不正がありそれに対して闘わねばならないとき、そこから退いて思索する思想家の「…

【雑記】たてよみ疲労

つめのさきをみじかくまるめてひふを かきこわさないようなてゆびにかえて れんめんとつらなるおもてにくるまれ たるたるなからだたゆませるひるのま

モリス・バーマン『デカルトからベイトソンへ 世界の再魔術化』(原書1981, 訳書1989, 2019)

近代における世界の脱魔術化が引き起こした硬く冷めた知の世界を、魅力あふれる高度に科学的な魔術化した知の世界へ。帯を書いた落合陽一や解説のドミニク・チェン、さらには訳者の柴田元幸にも大きなインパクトを与えた著作ということで、楽しみに読んだの…

ゲオルク・クニール+アルミン・ナセヒ『ルーマン 社会システム理論』(原書1993,訳書1995)

かなりきっちりとルーマンの社会システム理論を紹介してくれている入門書。教科書としても使われているようで、この手の書籍にしてはかなり重版されている。さきにオートポイエーシス(自己創出、自己産出)論を少しかじっていないと飲み込みにくいかもしれ…