「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」の詩人として少しは読んだこともあったとのですが、今回この岩波文庫の詩選集を読んでみて、子供向けのメルヘン詩人という印象が吹っ飛んでしまいました。あゆみのしっかりした詩の言葉が「もの」にひたひたせまっているような感覚があって、すごい。
また各詩集のまとまりごとに仕切りのように収録されているエッセイも、散文詩のようで、これまたその凝縮度に驚かされます。
人間はものの形に接する場合、あらかじめ一つの予想もしくは希いを用意しているものであって、その希いが肯定されたり否定されたりすることによってその感情は様々にうち顫う(と私は考えている)。(p249 「よかったなあ」)
エッセイのなかには画家や彫刻家の名前も出てきます。ポリアコフ、デルヴォー、堀内正和。まどさんも抽象画を描いていたようですので、そちらも含めて鑑賞することをお勧めします。
まど・みちお
1909 - 2014