ドゥオーキンもルジャンドルも法学者。各信用体系とその適用についての考察は法学の範疇にあるということが理解できた。
数学の証明や法学の議論も、詩や劇と同様に、不要な詩句や前提を取り除くことによっていっそう美しいものになる。<それはまさにかくあらねばならない>ということが一層明白になるからだ。<美はリアルなものだ>と信ずるわれわれにとって、<宇宙は究極的には完全に理解可能なものだ>という科学の想定は、<宇宙はリアルな美しさに輝いている>という宗教的信念でもある。(「不可避性の美」p114)
倫理的独立が要請しているのは、<いかに生きるべきか、どんな生き方が成功であるかに関するある見解が別の見解よりもすぐれているという想定で正当化することで、政府が市民の自由を制限してはならない>ということだ。ある政策がその想定を反映しているか否かは、しばしば解釈の問題で、時には難しい問題だ。(「新しい宗教戦争」p151)
まず、何らかの信用体系に属していることを認めることから、穏健な解釈と共生と移動の可能性が生まれてくるのだろう。
筑摩書房 神なき宗教 ─「自由」と「平等」をいかに守るか / ロナルド・ドゥオーキン 著, 森村 進 著
目次:
第1章 宗教的無神論?
宗教とは何か?形而上学の中核
宗教的科学と宗教的価値
神秘と理解可能性
非人格的な神々―ティリッヒ、スピノザ、汎神論
第2章 宇宙
物理学と崇高なもの
美はいかにして研究を指導できるか?
しかしそれはいかなる種類の美なのか?
対称性?
宇宙はたまたまこうなっているだけなのか?
不可避性と宇宙
不可避性の美
第3章 宗教的自由
憲法の挑戦
宗教的自由は神だけにかかわるのか?
コントロールできない自由?
自由内部の衝突
本当に宗教的自由への権利はあるのか?
新しい宗教戦争
第4章 死と不死性
ロナルド・ドゥオーキン
1931 - 2013
森村進
1955