読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

【雑記】月食の夜、金春禅竹の「定家」を読み返す

本日旧暦 10/15(神無月十五日)、月齢 14.2、満月(18時)。

今回の部分月食は98%強の部分が月食となるという。
月の出以前の16時19分頃からはじまり、食の最大が18:02頃、19時47分に食が終わる。

16:30
区の児童への帰宅アナウンス(夕焼けチャイム)を聴いて、ベランダから月の有無を確認。東側の空に月は見えない。

17:05
在宅業務終了後に、徒歩5分の最寄スーパーへ買い出しに出る。月の状態確認も兼ねての外出だったが、東の空は曇っていて月は見えない。どのあたりを見ればいいのか不明。
帰宅後、カボチャの煮物が食べたかったので買ってきた材料で調理を開始する。
呑みながらの調理。
薄めのハイボールから、ストロングチューハイ500mlへ。
15分おきくらいで南側にあるベランダから東側の空を眺めてみるが、月は見えない。
古井由吉訳の「ドゥイノの悲歌」を晩酌を開始しながら読みはじめたが、第三歌で躓く。
酔いが出たので読解に支障が出てきた感じ。
他の訳者で何度か読んでいる作品なので大丈夫だろうと思って読みはじめたが、そんなことはなかった。
素面で改めて読むつもり。

18:00
カボチャの火を止めて、東の低い空に月を発見(マンション北側階段の東側踊り場)。
もう月食のピークにあって、残っている部分の印象が薄曇りの空気の厚い層を通り抜けて視界に届く。

18:18 
曇っていて 18:00とあまりかわらず。

18:29
謡曲「定家」(定家葛)通読1
月は見上げる角度が上がっていたが東側の低く大気の厚い空が曇り気味のこともあってあまり様子は変わらない。
右下に弓上の光があり、残り部分がかすかな光のシルエットで円形を感じさせている。

18:48 
yutubeで能「定家」の終わり部分の動画を見終えてから、外に出る。
見上げる角度がすこし上向いて月は明るみを帯びて下四分の一くらいの光りぐあいになっている。
月の位置が上がり雲も薄くなっていることもあって光りつつぼんやりと霞んでいる感じ。

19:15 
ブログ用の文章を書きはじめて、しばらくたったので月の様子を確認。
高度が少し上がり下側40%くらいが食から抜けて光っているが、薄曇りを通しての月なので霞んでいる。
印象は前回とあまり変わらない。
ずーっとみていた方が感興が湧いてくるのかもしれないが、一応マンションの階段は公共空間だし、日が暮れて寒くなってきているし(室内暖房無し22度、外はネット上の地方天気概況では11度)、長くいるのはあまり好ましいことではない。早めに撤退。

19:27 
七割五分もどっている。
相変わらず霞んでしまっているのが惜しい。
早い展開なんだけど、事前情報が十分すぎるためか驚きのようなものはあまりないのが残念といえば残念。

19:55
食の終わり19:47に向けて19:40頃から4F-5Fの階段踊り場で待機。
ストロングチューハイ500mlをのみ終えたので、寒いのと手持ち無沙汰も考え、マグカップにほとんど割っていない濃い目のバーボンソーダを用意して、月食の後半戦に臨む。
目に届くまでの大気の層の状態のためにずっと霞んでいる状態で、霞んでいながらも食の動きで光の部分が大きくなっていく月の姿は、たしかにあまりない現象ではあるが、感動しているかといえば、地動説が常識となり、恒星ー惑星ー衛星のあいだの関係性を即座に想起できる知的状況をあらかじめ持ち合わせているがために、それほどの感興も起こらない。

視線を下に向ければ、ファミレスの駐車場に駐車している自動車や、近くの大きな道路を走るピカピカの車の姿が目に入り、必要以上の部分はあるのだろうけれど、その人工的な、資本主義経済下で喚起された過剰でもある欲望の表現も、美しいものであると私は感じるが、こちらも嗜好として豪奢に向かうことは感覚的に分かるというレベルにすぎない。個人的には、のめり込むまでにはいかない。
私が今現在住んでいる拠点からだけのことをいうのであれば、開けているというかあまりものの見えない東側から、わりと見通しの良い北側や西側に眼を向けると、人の生活に必要な施設があからさまに見える。住居、学校、大規模商店、運送配送拠点、廃棄物処理場と焼却炉の高炉、高速道路、各種商業施設など。

月というか花鳥風月ばかりに心を奪われるような環境には、もはや住まわってはいないことあらためて確認するとともに、今の世の美しさというものがあるということを確認した。今の世の美が、詩歌に昇華できやすいものかどうか、永遠と結びつきやすいかどうか、ということはとりあえず置くとして、こころ動かす情景・風物は今でもある、と感じた。

20:30
満月。
月は斜めから頂点に向かうのぼりはじめの位置くらい。雲がほぼ消えて、明るさにキレが出てきている。
綺麗。
毎週金曜、この時間はTVでマツ有を見ているところであるが、そちらは録画して、月優先、自然・天体ショー優先のめずらしい週。

20:50
月は雲にかからず、刺すように明るい。
50歳の私は今、近視と乱視と老眼をかかえて眼鏡越しにしか見えないが、裸眼ですっきり見えたらさぞかしきれいな夜空なのであろうと思わせる空と月。
月は千年以上前から日本の歌に歌われた月とおなじ月であると思うと、そのスパンで存在し続けるものへの畏敬の念がかすかに起こる。
熱がとれて味が落ち着いたかどうか、カボチャを味見。
自分の舌とのどに合った味。美味。
合格点。

これからもう一回、禅竹の「定家」を読んで、酔っぱらい、寝るという予定。

21:09
とりあえず書き終えたので、投稿。

以上。

 

参考:

uho360.hatenablog.com

uho360.hatenablog.com