『方丈記私記』『定家明月記私抄』『ラ・ロシュフーコー公爵傳説』『別離と邂逅の歌』『堀田善衞詩集 一九四二~一九六六』と堀田善衞の作品を読みすすんできて、次は何を読もうかということと、他の人はどんな風に読んでいるのかを知りたくて手に取った一冊。現時点で一番気になるのはモンテーニュの評伝『ミシェル 城館の人』全三巻なのだが、この作品については、モンテーニュの『エセー』も併せて読まないことには落ちつきが悪くなりそうなので、いまのところ見送り。まとまった時間がとれそうで、かつ気が向きそうなときに残しておく。直近では詩集を読んだので、『若き日の詩人たちの肖像』などが適当かなと思いつつ、本書を読みはじめた。ジブリの宮崎駿が影響を受けて「別格の人」と位置付けている内情を覗いてみたいという興味もあった。
小説家の池澤夏樹は自身が編集した日本文学全集に採った『若き日の詩人たちの肖像』。
ノンフィクション作家の吉岡忍は全般的に語り薦めるようであったが、南京虐殺事件をテーマにした小説『時間』推しが強そうだった。
フランス文学者の鹿島茂は『若き日の詩人たちの肖像』と『ゴヤ』と『ミシェル 城館の人』。
美術史学者の大高保二郎は『ゴヤ』とスペインで書かれた『定家明月記私抄』。
ジブリの宮崎駿監督は『広場の孤独』『漢奸』『方丈記私記』とエッセイ『空の空なればこそ』。
堀田善衞自身のエピソードでいちばん興味深かったのは、吉岡忍が語ったべ兵連活動期の脱走米兵を自宅にかくまったときの話。知らないことというのはいくらでもあるのだなと思いながら読みすすめていた。
作品では宮崎駿が薦めるエッセイ集『空の空なればこそ』が気になったが、近場の図書館にはなかったので、すぐに借りることのできる『若き日の詩人たちの肖像』と『路上の人』の二作に絞った。
本書を読みすすめてみて、あらためて堀田善衞の格の大きさのようなものを感じた。
すこしずつ、より広く、より深く、読みすすめていきたい。
【付箋箇所】
15, 22, 30, 66, 86, 93, 163, 168, 185, 187, 197
目次:
はじめに 『方丈記私記』から 富山県高志の国文学館館長 中西進
第1章 堀田善衞の青春時代 池澤夏樹
第2章 堀田善衞が旅したアジア 吉岡忍
第3章 「中心なき収斂」の作家、堀田善衞 鹿島茂
第4章 堀田善衞のスペイン時代 大高保二郎
第5章 堀田作品は世界を知り抜くための羅針盤 宮崎駿
終章 堀田善衞二〇のことば 富山県高志の国文学館
年表 堀田善衞の足跡
付録 堀田善衞全集未収録原稿―『路上の人』から『ミシェル 城館の人』まで、それから…
堀田善衞
1918 - 1998
参考: