読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ニコラウス・クザーヌス「オリヴェト山修道院での説教」(1463)

超越的なものに向かい祈ることのできる人は洋の東西を問わず一人に強い。一人でも一人ではないように生きられるから。

修道士(monachus)とは、monosつまり「一人」という意味の語に由来するのであり、それにchusという語尾が付けられているのであるから、修道士は「一人で居る」ことが義務づけられているのである。それゆえ、修道士はよりよく神のために時間を割き、神に祈ることができるように、一人でいなければならないのであり、より自由で静謐のうちに天的な事柄の観想と天使との交わりに集中するために、また聖務日課に専心するために、孤独のなかで過ごさなければならないのである。
(第8節より 岩波文庫『神を見ることについて』八巻和彦訳 p161-62)

 

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ニコラウス・クザーヌス
1401 - 1464
八巻和彦
1947 -