読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

文庫で読む清沢満之(きよざわまんし 1863-1903) 読書資料

清沢満之真宗大谷派の僧侶。法然親鸞蓮如に連なる他力の信仰者。東京大学フェノロサからヘーゲルやスペンサーを学んだことで、自身の仏教哲学に西洋哲学を取り込んでいる。有限と無限の考察、遍満する仏を説く汎神論、世界理解に対する数学的アプローチということではヘーゲルというよりもスピノザの思想に親和性があるように感じている。

清沢満之の説く他力は、無限の存在たる如来への信仰、無限の生成である如来への帰依、任運、人事を尽くしたあとの運命甘受といったところ。清沢満之が語る如来諸法無我の法を喚起する傾向が強く、阿弥陀如来の人型の像や極楽浄土のイメージが殆ど浮かんでこないところが現代的。

現在、文庫本で手に入るのは以下二冊。残念ながら両方とも品切れ状態らしいが、発行データを見ても古書や図書館でも見つけやすい部類の本ではないかと思う。他に中公クラシックス中央公論社の日本の名著シリーズでもアクセス可能。

 

安冨信哉編、山本信裕校注『清沢満之集』岩波文庫 2012
今村仁司編訳『現代語訳 清沢満之語録』岩波現代文庫 2001

www.iwanami.co.jp

www.iwanami.co.jp

 

【目次】

安冨信哉編、山本信裕校注『清沢満之集』岩波文庫 2012

第1部 他力の大道
 親鸞聖人御誕生会に(他力の救済)
 我は此の如く如来を信ず(我信念)
 エピクテタス氏
 『臘扇記』(抄)
第2部 精神主義
 精神主義
 万物一体
 自由と服従との共存・共働
 科学と宗教
 精神主義と物質文明
 宗教は目前にあり
 競争と精神主義
 先ず須らく内観すべし
 精神主義と唯心論
 精神主義と他力
 迷悶者の安慰
 精神主義と三世
 精神主義と共同作用
 絶対他力の大道
 生活問題
 宗教的道徳(俗諦)と普遍道徳との交渉
第3部 仏教の改革
 教界時言発行の趣旨
 大谷派宗教改革の方針如何
 仏教者蓋自重乎
 教界回転の枢軸
第4部 信仰の諸相
 仏教の効果は消極的なるか
 他力信仰の発得
 祈禱は迷信の特徴なり
 真の朋友
 『当用日記』(抄)


今村仁司編訳『現代語訳 清沢満之語録』岩波現代文庫 2001

第1部 宗教哲学
 宗教哲学骸骨
 他力門哲学骸骨(試稿)
 縁起存在論
第2部 精神主義
 精神主義
 精神講話
 修養語録
 修養語録

 

清沢満之
1863 - 1903
今村仁司
1942 - 2007