20世紀にはロシア革命があり、ソビエト社会主義共和国連邦という国があった。マヤコフスキーは革命の熱の中を生き、燃え尽きてしまった詩人。本書で触れることのできる詩の数々は、今はもう冷え切ってしまった社会改革への期待を高らかに歌っている。時代の波に流されて、今では空疎な感じとともにしか読めなくなってしまってはいるが、遺物感ただよう内容と、今の時代にもつながる軽くて見栄えのする詩の形の組み合わせは、なにか気になる要素をもっている。わたしの中では、どことなく苦い体験のサンプルのようなものに変質して、革命の詩人の名前が残っている。
戦いのなかで
建てた
社会主義を、
ぼくらみんなの
記念碑にしよう。
子孫のきみら、
字引の浮標(ブイ)を調べてごらん。
三途の川から
流れてくるぞ、
こんな言葉の残骸が、
<売春>、
<結核>、
<経済封鎖>。
(「声を限りに」部分)
廃墟となった記念碑は、言葉を奪う。奪われた後の空虚に何を詰め込むようにしたらいいのかは教えてはくれない。
ウラジーミル・ウラジーミロヴィッチ・マヤコフスキー
1893 - 1930
小笠原豊樹(岩田宏)
1932 - 2014