読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

戸谷洋志『ハンス・ヨナスを読む』(堀之内出版 2018)

日本初のハンス・ヨナスの入門書。1988年生まれの若手の研究者が「未来への責任」という哲学的テーゼを、ヨナスの著作からの引用を豊富にちりばめながら、理解しやすく展開してくれた著作。非常に丁寧に、興味を持てるように、目配りをきかせながらヨナスの思想を伝えてくれている良書。今現在アマゾンのレビューは四件あって、すべて星五つの高評価。個人的にはヨナスの「未来への責任」を哲学的に基礎づけるという堅固な歩みを教えてくれたことが一番大きい。今現在と未来へ向けての参考という点からいうと、斉藤幸平の『人新世の「資本論」』などとあわせて読んだら、著者の気質のちがいなども感じながら評価できて良いのではないかと思う。

「ホモ・ピクトル」(描く人)。

ヨナスが「像を作るという能力を人間の条件として提起」しているということからは、アンドレ・ルロワ=グーランやカッシーラー中沢新一などの、抽象化された記号をつくる人間の行動についの言説も思い浮かんできて、とても興味を持てた。

ウィキペディアによるとホワイトヘッドの哲学に影響を受けているということで、そちらも興味深い。

www.hanmoto.com


【付箋箇所】
46, 76, 80, 91, 102, 120, 156, 181,188

目次:
第1章 ヨナスの人生
第2章 テクノロジーについて―技術論
第3章 生命について―哲学的生命論
第4章 人間について―哲学的人間学
第5章 責任について―責任概念の構造
第6章 未来倫理について―形而上学的演繹
第7章 神について―神話の思想

 

ハンス・ヨナスの日本語訳著作のうち本書に関係の深いもの

『責任という原理 科学技術文明のための倫理学の試み』

www.toshindo-pub.com

 

『生命の哲学 有機体と自由』

www.h-up.com

 

アウシュヴィッツ以後の神』

www.h-up.com

 

ハンス・ヨナス
1903 - 1993
戸谷洋志
1988 -

 

こちらもご参考まで

uho360.hatenablog.com

uho360.hatenablog.com

uho360.hatenablog.com

 

uho360.hatenablog.com