読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

【脳だけじゃない脳科学 アントニオ・ダマシオ二冊】『デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳』(原書 1994, 2005 ちくま学芸文庫 2010)、『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』(原書 2003 ダイヤモンド社 2005)

ソマティック・マーカー仮説(somatic marker hypothesis)のアントニオ・ダマシオ。脳だけじゃない脳科学。身体(遺伝子)―情動―感情。科学―哲学―心理学。デカルトスピノザのほかにウィリアム・ジェームズも大きな存在感を示している。苦が生に対してもつ意味、ホメオスタシスとコナトゥスの重ね合わせなど、興味深い言説がたくさんあって、おすすめできる。

化学的なホメオスタシスのプロセスから狭義の情動(エモーション・プロパー)まで、生命調節現象は、直接的にあるいは間接的に、例外なく有機体の完全性と健全性に関係している。また例外なく、これらすべての現象は身体状態の適応的調整と関係し、最終的に身体状態に対する脳のマッピングに変化をもたらす。そしてそのマッピングが、感情の基盤を形成している。
(『感じる脳』第2章「欲求と情動について」 p77 )


多くの脳障害症例やMRIやPETによる調査研究の積み重ねから出てきた感情発生に関するひとつの明晰な言説。

『感じる脳』は原題"LOOKING FOR SPINOZA Joy, Sorrow, and the Feeling Brain"で、スピノザの思想(心身並行論)と人生をめぐっての論述が脳科学での研究成果にも劣らない質と分量でなされている驚きの書。ダマシオの力も借りて、そろそろ『エチカ』も読み直してみよう。

www.chikumashobo.co.jp

 

デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳』(原書 1994, 2005 ちくま学芸文庫 2010)

【チェック箇所】
15, 16, 21, 22, 24, 28, 85, 140, 148, 151, 160, 164, 170, 181, 192, 198, 202, 205, 211, 224, 230, 233, 234,245, 257, 259, 260, 267, 280, 331, 337, 348, 353, 354, 355, 368, 375, 393,395, 396, 400

目次:

新版へのまえがき
序文

第1部
第1章 ヴァーモントでの不幸な出来事
第2章 明らかになったゲージの脳
第3章 現代のフィアネス・ゲージ
第4章 冷めた心に

第2部
第5章 説明を組み立てる
第6章 生体調節と生存
第7章 情動と感情
第8章 ソマティック・マーカー仮説

第3部
第9章 ソマティック・マーカー仮説を検証する
第10章 身体志向の脳
第11章 理性のための情感(パッション)

補遺

 

『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』(原書 2003 ダイヤモンド社 2005)

www.diamond.co.jp

【付箋箇所】
4, 32, 54, 58, 77, 104, 120, 130, 137, 164, 174, 191, 200, 209, 213, 225, 227, 232, 245, 247, 251,263, 264, 271, 275, 335, 345, 351, 353, 362

目次:
第1章 感情の脳科学スピノザ
第2章 欲求と情動について
第3章 感情のメカニズムと意義
第4章 感情の存在理由
第5章 心を形成するもの
第6章 スピノザ思想の源
第7章 自己保存としての感情


アントニオ・ダマシオ
1944 -
田中三彦
1943 -

 

参考:

uho360.hatenablog.com

uho360.hatenablog.com

uho360.hatenablog.com

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