読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-02-12から1日間の記事一覧

新・世界現代詩文庫 秋吉久紀夫編訳『現代中国少数民族詩集』(2003)

少数民族詩集ということで政治色が強いのかもとページを繰ってみたら、政治的でもあるけれど、地方の風土に根差した生活感情のなかで生み出された詩歌が多かったような気がした。中国に居住する少数民族は編訳者によれば55あり、そのうち27民族、46名…

野口米次郎「風」(『夏雲』1906 より)

風 私は風が秋草の陰で溜息するのを聞く、私は風が干潮の間に死を溜息するのを聞く………秋草の陰で死んだ風は永遠に眠る。潮は退(ひ)く………私の疲れた空想も退きゆく。 私は私の影を秋草の陰と干潮の間に見るであらう、溜息し溜息する私の一つの影を見るであ…