読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

松浦寿輝『波打ち際に生きる』(羽鳥書店 2013)

松浦寿輝の東京大学退官記念講演と最終講義をまとめた一冊。読後に襲ってきたのは不安感。到底この人の域には行きつけないのに、なに読んでいるんだろうという無力感みたいなものが湧いてきた。才能があるのに何故日本では輝いて幸福そうには見えないのかと…

【雑記】たてよみ松浦寿輝

まつことにうんでのみはじめてしまったこいさけに つまらぬしのいっせつをのどのおくにしのばせつつ うれいもたぬようしせんはかっとすいへいにたもち らんぼうなへんしゅうでぼろきれどうぜんとなった ひかりとやみにひたりきりみをきりきりとふるわせ さん…

山田克哉『真空のからくり 質量を生み出した空間の謎』(講談社ブルーバックス 2013 )

観測不能と無限大とゼロ。付け加えて仮想粒子とプランク定数と量子化。量子力学の世界像に慣らしてくれるほぼ数式なしで書かれた解説書。 わりと疑い深くはない性格なので、専門の編集者がついて出版された書籍に書かれていることは、なんとなく理解すること…

竹田青嗣『完全解読 カント『純粋理性批判』』(講談社選書メチエ 2010)

完全かどうかは別にして、とてもいい解読書。「悟性」と「理性」の理解度が高まったというか、印象深いものになった。 【悟性】 悟性は、本来感性と結びついて対象認識を行なう役割を持つが、しばしばこの限界を超えて、感性的直観をもたない領域についても…