2025-11-01から1ヶ月間の記事一覧
年齢の近い弟子の俳人が書いた評伝と作品鑑賞の書。 芭蕉研究と俳句実作のなかから生まれた、俳句の沈黙の力についての楸邨自身の言葉が印象的。 徒らに饒舌な詩歌でなく、しかも言葉が生き、無言とすれすれのところまで生きぬいているような、そういうとこ…
加藤楸邨全句集を読んだ作者の印象は、俳句偏屈癇癪頑固親父といったところ。純粋で直情型なので、学究肌であるにもかかわらずかなり愛らしい。句も一種やぶれかぶれのようなところがあり、旨さよりも存在感自体が訴えかけてくる。曲線好き。全13,532句。戦…
第七句集『七草』までの季題別全句集。その後十七句集まで出ているので、本書は壮年期までの句業ということになる。誉め言葉にはならないかもしれないが、なんとなくすごい。丸みのある技巧的な良句が犇めいているが、味わいがまろやかなために一読しただけ…
『月光抄』『女身』『晩春』『新緑』『初夏』『緑夜』と第七句集『草樹』の一部を収めた生前刊行の全句集的著作。この後『樹影』『花影』『草影』と計10冊の句集を刊行しているが、ピークは『晩春』『新緑』の詠風転換の時期にあるように思う。 私撰15句…
全3336句からの15句選※最初の二句がもっとも有名だとおもう ラガー等のそのかちうたのみじかけれ雪霏々と舷梯のぼる眸ぬれたり火事の雲電線ぢぢと燃えさがる電柱に倚れば地底に鳴く蛙葛原の風の中にて猫白し秋あつし売店とざす錠巨大杉山の闇が蛾族を…