2025-11-01から1ヶ月間の記事一覧
新興俳句に惹かれ「京大俳句」に参加し西東三鬼に師事、その後石田波郷を知り傾倒してゆく。作風は自身が齟齬を感じた事物をそのままに表現しようとする傾向が強い。情動も意志も強く激しく、厳しさを感じさせるタイプ。年齢による表現の振幅は大きいが、知…
フランス詩の研究が本職で、自作では詩から俳句に転向した平井照敏の選句集。俳句は勤め先に加藤楸邨がいたことからはじめたらしいが作風は似ていない。情念に距離を置いた機知から作られた作品が多い感じで、私はけっこう好きなのだが、激しさがないので物…
横山白虹の四女。俳句界では二世、三世が活躍していることがい多い。小さい時から日本固有の短詩型に触れ、その機微を感覚的に身に着け、気負いなく表現できるようになっているところに優位性があるのだろう。ただ、個人によって表現傾向は違ってくるので、…
かつての毎日新聞社『俳句αあるふぁ』編集長。人によって採る句に偏りが出て来る俳人のようで、茫洋としているところもあるが奥深いのかも。加藤楸邨門下。 400句から私撰5句 春昼の梢をつかむ仁王の手幸福といふ不幸ありヂギタリス闇汁の闇の底なる火の…
俳句の現在形を担っている人の実質的第一句集。 結婚前、出産前、離婚前。 世界のみずみずしさに撃たれ耐えている生の時。 寂しいと言い私を蔦にせよ引越しの最後兎を抱いて乗るここもまた誰かの故郷氷水ステンレスパッドに餌や蛇飼うてなぐさめのつもりか金…
仙というか狂というか惚というのか、俳人しか到達しえないような表現の領域にいる人。飄逸なんだが本人的には大真面目で、まったく衒いが感じられないところがよい。幼心のままにある無為の遊境であり、また戦境であろう。ジャンルを超えて近い人を挙げると…
夏井いつきがなりたいと願い、その才能、その存在には届かないと悔しがった俳人黒田杏子(1938-2023)の全7句集のうち6冊を読んだ(手に入らなかった一冊は第6句集『銀河山河』)。最期まで思うままに活動的に生き、詠い切った姿に、あこがれを持ち、ファン…
西村麒麟の第二句集 『鴨』。ほんのりと笑い崩れた異界。 私撰5句 紫陽花や傘盗人に不幸あれ冷房の開閉すべき箇所故障亡き人を庇ひつつ出る汗やよし秋茄子の人数分が水の上茘枝食ふ野球の話だけしたし 西村麒麟の第三句集 『鷗』。 自立(独立俳誌)の前後の…
年齢の近い弟子の俳人が書いた評伝と作品鑑賞の書。 芭蕉研究と俳句実作のなかから生まれた、俳句の沈黙の力についての楸邨自身の言葉が印象的。 徒らに饒舌な詩歌でなく、しかも言葉が生き、無言とすれすれのところまで生きぬいているような、そういうとこ…
加藤楸邨全句集を読んだ作者の印象は、俳句偏屈癇癪頑固親父といったところ。純粋で直情型なので、学究肌であるにもかかわらずかなり愛らしい。句も一種やぶれかぶれのようなところがあり、旨さよりも存在感自体が訴えかけてくる。曲線好き。全13,532句。戦…
社会性俳句の中心作家。戦争と社会を詠みつづけた作家。俳句形式の性格や要素の虚しさを語りつつ、その形式の追及に賭けるという姿勢に野太さを感じる。 私撰5句 蛇を知らぬ天才といて風の中戦争が通つたあとの牡丹雪わが死後の乗換駅の潦右の眼に左翼左の…
第七句集『七草』までの季題別全句集。その後十七句集まで出ているので、本書は壮年期までの句業ということになる。誉め言葉にはならないかもしれないが、なんとなくすごい。丸みのある技巧的な良句が犇めいているが、味わいがまろやかなために一読しただけ…
『月光抄』『女身』『晩春』『新緑』『初夏』『緑夜』と第七句集『草樹』の一部を収めた生前刊行の全句集的著作。この後『樹影』『花影』『草影』と計10冊の句集を刊行しているが、ピークは『晩春』『新緑』の詠風転換の時期にあるように思う。 私撰15句…
現代俳句協会の俳句データベースには「中村草田男」で114句登録されていて、本書の中から自選句を選ぶとほとんどが登録済みのもので、この俳人の良句は人によってそれほどブレることはないのだなあと感じた。活動期間は戦前からで、しかも俳句という伝統…
全3336句からの15句選※最初の二句がもっとも有名だとおもう ラガー等のそのかちうたのみじかけれ雪霏々と舷梯のぼる眸ぬれたり火事の雲電線ぢぢと燃えさがる電柱に倚れば地底に鳴く蛙葛原の風の中にて猫白し秋あつし売店とざす錠巨大杉山の闇が蛾族を…