著者曰く、『正法眼蔵』は禅の指南書としてよりも哲学書として読むのが好い。本書で扱うのは「現成公案」「弁道話」「生死」「仏性」「有時」「山水経」「洗浄」「諸悪莫作」「菩提薩埵四摂法」「八大人覚」の各巻と、『典座教訓』『普勧座禅儀』。大事なところをサラッと拾い上げて分かりやすい譬喩とともに紹介解説してくれているので、ちょっとだけ覗いてみることもできる、入りやすい道元入門の書。用語解説などもちゃんとあって、実際に『正法眼蔵』を読もうとするときにも役に立ちそう。まず、どこから読みはじめればいいかも分からないような状態であっても、本書で紹介された部分から入りこんでいけばどうにかなるかもしれないと思わせてくれるところが心強い。
煩悩即菩提。
道元を知りたい、『正法眼蔵』を読んでみたいという欲望=心の塵が、そのまま悟りになるよとも言われているような気もする。迷ってもよし、悟ってもよしの『正法眼蔵』の門。
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