読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ポール・ヴァレリー『ドガ・ダンス・デッサン』(原著 1936, 訳:塚本昌則 岩波文庫 2021)

悪意にも境を接しているような辛辣なまでの知性のはたらきと、そこから生み出されている芸術の際立った生動と過剰さに促されるようにして書かれたヴァレリーのエッセイ。
ドガのデッサンの木版画と銅版画による複製51枚とともに、刊行された最初の形態に沿って編纂された日本語訳書には、訳者の丁寧な解説に加えて、ヴァレリーの結婚式の写真や、ドガが撮影したマラルメの写真なども掲載されていて、19世紀末フランスの先端的な芸術家たちの気質や思考の傾向が伝わってくる。
本書を読み通した時には、時代や文化の違いを感じるとともに、筆を持ち形ある対象をとらえようとする時に実現の困難とともにはたらきはじめる意志的な観察力と表現力についての普遍的な相を知ることになるだろう。

 

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【目次】
ベアーグ伯爵夫人に
ドガ
ダンスについて
ヴィクトール=マッセ通り三十七番地
ドガフランス革命
いくつかの話題
一九〇五年十月二十二日
見ることと線を引くこと
制作と不信
馬、ダンス、そして写真
床と不定形なもの
裸体画について
ドガの政治論
身振り
余談
もうひとつの余談
ドガソネット
ドガは、デッサンに夢中で
前項のつづき
教訓
羨望の罪
いくつかの名言、さまざまな毒舌
その他の《名言》
風景画その他についての考察
現代芸術と大芸術
絵画史の要約
ロマン主義
デッサンはかたち(フォルム)ではない
ドガについてのベルト・モリゾの思い出
芸術の言語
時代の問題
エルネスト・ルアール氏の思い出
黄昏と終曲

訳注
書誌一覧
訳者あとがき

【付箋箇所】
20, 22,  32, 36, 48, 57, 74,  100, 115, 122, 196, 271, 309

ポール・ヴァレリー
1871 - 1945

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エドガー・ドガ
1834 - 1917

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塚本昌則
1959 -

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ステファヌ・マラルメ
1842 - 1898

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