読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ラビンドラナート・タゴール『庭師 散文詩集』(原著 1913, 訳:内山眞理子 未知谷 2024)

『ギターンジャリ』に次ぐタゴール自身による英語訳選詩集。30代に母語ベンガル語で表現した詩篇を50代初頭に選択し英訳して汎世界に向けて解き放った詩篇85篇。複数の詩集から選択再構成されているようではあるが、再構成して一冊の恋愛詩篇として構築しなおされている。

19世紀末の南インドの栄えている農村の風景とその土地に住む若者の恋愛譚。

基本的には片想いの恋愛詩。

思い通りにならない思いを詩で慰めている。

甘酸っぱく籠りがちな若々しい運動と疲労

現代日本だとストーカーまがいの振舞いや思考表現と言われてしまうかもしれないが、

犯さず引かずの内向的で逡巡する心理の動きに

栄えている田園生活空間の懐かしさにノスタルジーを感じつつ

今現在の社会の素っ気ない厳しさの良し悪しに思いを巡らせていた。

ぼくは得られないものを求め、求めないものをぼくは得る。

求めないものを得てしまい、あらためて求める自分を振り返り、求めるものとの関係と、求める自分と求めないものとの共存を、風に流しつつ、新生するよう静かに期する言葉に構成している

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【目次】
序文
 
01 わたしに慈悲を… 
02 詩人よ,夕暮れが迫っている… 
03 朝,ぼくは海に網を… 
04 いったいどうしてかれらは… 
05 ぼくは落ち着かない… 
06 飼い馴らされた鳥は… 
07 お母さま,若い王子さまが… 
08 寝台の傍のランプが消えたとき… 
09 夜,独りわたしは恋人に… 
10 花嫁さん,仕事をやめて… 
11 そのままおいで… 
12 きみの水甕をすぐに満たしたいなら… 
13 ぼくは何も求めなかった… 
14 わたしは理由もなく道を… 
15 森の小暗いかげを… 
16 手に手が重なり… 
17 黄色い鳥が木の上で… 
18 ふたりの姉妹が… 
19 溢れるばかりの水甕を… 
20 来る日も来る日も,その人は… 
21 かれはなぜわが戸口を… 
22 彼女が足早に通り過ぎたとき… 
23 きみはなぜそこに坐って… 
24 友よ,きみの心の秘密を… 
25 こちらに来たまえ,若者よ… 
26 お与えくださるものを… 
27 たとえ悲しみを連れて来ようとも愛を… 
28 あなたの,どこまでも知ろうとする目は… 
29 わが愛する人よ,わたしに語ってください… 
30 あなたは,わが夢の空を漂う夕暮れの… 
31 わが心は荒野の鳥だ… 
32 愛する人よ,これが全て真実かどうか… 
33 愛しい人よ,あなたを愛します… 
34 愛する人よ,黙って行かないで… 
35 容易くあなたを知り尽くして… 
36 彼は囁いた… 
37 あなたの,瑞々しい花輪をわたしの… 
38 愛する人よ,かつてあなたの詩人は… 
39 わたしは朝からずっと花輪を… 
40 あなたにお別れを言いに行くと… 
41 どうしても言わなくてはならない心の… 
42 気の狂れたものよ… 
43 いや,友人たちよ,ぼくは苦行者に… 
44 尊いおかた,ふたりの罪人を… 
45 行かなければならない客には… 
46 あなたはわたしを残して… 
47 もしもあなたがそのように… 
48 愛する人よ,あなたの甘美な縛りから… 
49 ぼくは彼女の両手を取って… 
50 愛の神よ,わが心は昼も夜もあなたに… 
51 最後の歌をうたい終わって… 
52 なぜランプは消えたのか… 
53 どうしてあなたはぼくをちらりと見て… 
54 市場が終わる夕暮れに… 
55 あなたが立ち去ったのは… 
56 わたしは,限りも無い家事に… 
57 世界よ,ぼくはあなたの花を… 
58 ある朝,花園で… 
59 女性よ,あなたは神の作品であるだけでなく… 
60 人生の慌ただしさと騒がしさのなかで… 
61 わが心よ,平穏が別れの時を… 
62 黄昏の夢の道を,前世でぼくの… 
63 旅人よ,行かなければならないのか… 
64 ぼくは一日じゅう,灼熱の土埃の道を… 
65 また,あなたの呼び掛けなのか… 
66 頭のおかしな男は流離いながら… 
67 夕暮れがゆっくりと近づいて… 
68 兄弟よ,永遠に生き続けるものはいない… 
69 わたしは金の雄鹿を追い掛ける… 
70 子どものときの一日を思い出す… 
71 一日はまだ終わっていない… 
72 厳しい労苦の日々を経て,わたしは… 
73 無限の富はあなたのものではない… 
74 世界の音楽ホールでは,簡素な草の葉が… 
75 真夜中に,苦行者を志す人が言った… 
76 寺院の門前に定期市が立った… 
77 西の方からやって来た煉瓦職人とその妻は… 
78 五月だった… 
79 人間と,心があっても語る言葉を… 
80 美しい女性よ,あなたはその一瞥で… 
81 おまえはなぜ弱々しく,ぼくの耳に… 
82 今夜は,ぼくらの死の戯れだ… 
83 彼女は,丘のトウモロコシ畑の傍に… 
84 緑と黄色の稲田の上を秋雲の影が走り… 
85 あなたは誰ですか… 

『庭師』と『ギーターンジャリ』をめぐって訳者あとがきに代えて


【付箋箇所 (作品番号)】
2, 15, 16, 25, 31, 35, 42, 43, 47, 53, 56, 64, 68, 
解説(頁数)
155,  156

ロビンドロナト・タゴール
1861 - 1941

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内山眞理子
1949 -

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