読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

八木雄二『中世哲学への招待 「ヨーロッパ的思考」のはじまりを知るために』(2000)

ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスを軸に語られる中世哲学、中世の神学の入門書。近代科学、哲学を用意することにもなるドゥンス・スコトゥスの思想を一般向けに精妙に紹介してくれている。 平凡社ライブラリー『中世思想原典集成 精選6 大学の世紀2』所収の…

ハインリヒ・ハイネ『流刑の神々・精霊物語』

主流とは異なるところから見えてくるものがある。 キリスト教進行以前の、未開ともいわれそうな時代の土地固有の文化が変形されてしまう力学を感じることができるハイネの論考2篇。 【精霊物語】 彼はむしろ自己独自の思考を信頼しようとする。彼は理性をは…

柄谷行人『帝国の構造 中心・周辺・亜周辺』第2章「世界史における定住革命」

定住革命がなぜ起こったかについて再確認(『佐藤優さん、神は本当に存在するのですか? -宗教と科学のガチンコ対談』のなかで、確か「支配するため」となっていて違うと思ったため)。 定住は、それまでコンスタントな移動によって免れていた諸困難に、人々…

正岡子規 『獺祭書屋俳話・芭蕉雑談』

概言すれば俳句は已に尽きたりと思ふなり。よし未だ尽きずとするも、明治年間に尽きんこと期して待つべきなり。(「獺祭書屋俳話」p32) 古今の相違は言語の上のみにあらず、生活の方法、眼前の景物まで尽く変りはてたれば、日常の事又はそれより起る連想の…

高橋睦郎 句集『荒童鈔』(1977)歌集『道饗』(1978)

ともに現代詩文庫『続・高橋睦郎詩集』に収録されている。 『百人一句』を読んで、著者本人の作品はどのようなものだろうと『荒童鈔』を期待しながら読んだのだが、あまりピンとこない。俳句素人には味わい方がよくわからない作品が多いのだろうと思う。それ…