読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

マルティン・ハイデッガー『形而上学入門 付・シュピーゲル対談』(原著 1953, 訳:川原栄峰 平凡社ライブラリー 1994)

1953年にフライブルク大学で行われた講義のテクスト。四年ぶりに平凡社ライブラリー版で再読。死後公開されたシュピーゲル対談も併せて読むことでハイデガーが恐れていたものがいかなるものであったのかがすこし明瞭に見えてきた。

 

すべてが機能しているということ、そしてその機能がさらに広範な機能へとどんどん駆り立てるということ、そして技術が人間を大地からもぎ離して無根にしてしまうということ、これこそまさに無気味なことなのです。あなたがびっくりなさったかどうか知りませんが、私は月から地球を撮影した写真を見たときびっくりしてしまいました。

 

ハイデガーはまた「技術とは、その本質において人間が自力で制することのできない或るものなのです」、そして「非隠蔽性とは無気味さの出来事にほかならない」とも言っていて、存在の開示が単純に好ましいものではなく、人間の苦境であり暴力的であるということも訴えつづけていたのだなという風に感じたのであった。

 



参考

uho360.hatenablog.com

www.heibonsha.co.jp

【目次】
1 形而上学の根本の問い
2 「ある」という語の文法と語原学とによせて
3 存在の本質についての問い
4 存在の限定

【付箋箇所】
15, 24, 27, 46, 51, 57, 68, 83, 87, 88, 94, 99, 103, 106, 113, 126, 134, 139, 152, 160, 188, 192, 206, 217, 229, 234, 240, 249, 254, 259, 269, 273, 279, 286, 290, 301, 303, 311, 314, 327, 329, 332, 334, 384, 386, 390, 403, 407

マルティン・ハイデガー
1889 - 1976

ja.wikipedia.org

川原栄峰
1921 - 2007

ja.wikipedia.org