科学者で俳人という人の作品はかなりの確率で面白い。俳人和田悟朗、生業での専門は物理化学で奈良女子大学名誉教授。関西人のしなやかで奥行きのあるユーモアとアイロニーの感覚も作品からにじみ出てていて滋味深い。
私撰10句
逝く春やわが骨片の二三百
汗ばむや電波暗夜をとびみだれ
漉き紙の仮の世界に雪降れり
脳軟化して点点と寒雀
閉門の時来て重し冬の山
森閑と手斧(ちょうな)の痕に昼の月
魔女にして頬突く指の美しき
喪失の途中にありぬ蝸牛
膨張を思いとどまる茄子かな
本当は戦争好きや菊人形
和田悟朗
1923 - 2015