俳人で廃人の北大路翼が、師匠の師匠であるところの加藤楸邨の俳句から百句を選んで鑑賞している本。無頼の感受性から一気に句に肉薄していく姿勢が気持ち良い。癖の強い二人の俳人のカップリングで、人間臭い俳句表現の世界を見せてくれている。
枯れゆけばおのれ光りぬ冬木みな
山ざくら石の寂しさ極まりぬ
生きてあれ冬の北斗の柄の下に
火の奥に牡丹崩るるさまを見つ
恋猫の皿舐めてすぐ鳴きにゆく
何といっても「石」がたまらない。「石」の真の寂しさに辿りつけるのは楸邨とつげ義春ぐらゐだらう。
これは「山ざくら」の句の評の一部。北大路翼は旧仮名遣い。
加藤楸邨
1905 - 1993
北大路翼
1978 -