読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ティーヴン.L・マンリー『アメリカ最優秀教師が教える 相対論&量子論 はじめて学ぶ二大理論』(原書2009, 講談社ブルーバックス2011)

アメコミ風味の相対論・量子論の紹介書。他の本を読むための準備運動とか、息抜きの並走書として読むくらいがちょうどよい。それでも10章、11章の量子の世界と宇宙についての文章は、単独でも読みごたえがあるものだった。

量子力学では、粒子を、不確定性原理電荷の保存などの物理法則が許す、あらゆる可能性の総和と見なします。したがって、量子の世界では、電子は小さなビー玉みたいなものではなく、短すぎて観測できない時間のあいだに出現しては消え去る「仮想粒子」の、ぼやけた雲のようなものとして捉えます。
(第10章「量子の世界にあふれる奇妙さ」p169)

そのほか、物理現象そのものをイラスト化している部分は、アメコミ風ギャグのイラストの時と違って、イメージ形成にけっこう役に立つ。


目次:
第 1章 科学はどのようにして進むのか
第 2章 空間と時間とショッピング
第 3章 特殊相対性理論の誕生
第 4章 時間の遅れを計算する
第 5章 ついに登場「E=mc2」って何だっけ?
第 6章 時空は歪む――一般相対性理論
第 7章 相対性理論における光
第 8章 量子力学における光
第 9章 物質とは何か
第10章 量子の世界にあふれる奇妙さ
第11章 宇宙はどこまでわかったのか

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文:スティーヴン.L・マンリー
絵:スティーヴン・フォーニア
訳:吉田三知世