読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

『作って動かすALife 実装を通した人工生命モデル理論入門』

著者:岡 瑞起、池上 高志、ドミニク・チェン、青木 竜太、丸山 典宏

www.oreilly.co.jp2018

Alife(エーライフ):人工生命、Artificial Life。 コンピュータを使って生命の挙動(生命性)をシミュレートする。
オライリーから出ている本で、プログラミングのコード(Python)も載っているが、人工生命の理論の部分がよくまとまっているので、コードが読めなくても、手に取ってほしい一冊。

※サンプルコードの意味も日本語で十分説明されていて、実行結果も図版で確認できる。プログラミングをはじめるきっかけとして利用するのもあり。

相互作用を行うことは、相手を客観的にとらえるというよりも、二者関係の中でとらえることを意味しています。二者関係とは、相手が見ている風景を見る、相手が座っていた椅子に座るなど、二者の関係性のなかでの自分の行為を指します。これは「間主観性(inter-subjectivity)」と言われるものです。またこれは、人間がコミュニケーションの「その場」性に敏感だからだと思われます。人の相互作用の基本には、そうしたコミュニケーションの持つ不安定性と安定性が混じっていることが重要であると思われます。(7.3.3「トレヴァーセンの実験」p168)

取り上げられている内容はいずれも興味深いものであると思う。「間主観性(inter-subjectivity)」をはじめ、哲学的・社会学的なアプローチも複数組み込まれているので、その形跡を拾って読むということも可能かもしれない。

 

目次:

1章 ALifeとは
2章 生命のパターンを作る
3章 個と自己複製.
4章 生命としての群れ
5章 身体性を獲得する
6章 個体の動きが進化する
7章 ダンスとしての相互作用
8章 意識の未来
 

岡 瑞起 1980 -
池上 高志 1961 -
ドミニク・チェン 1981 -
青木 竜太 1979 -
丸山 典宏 1984 -