読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

『セガレン著作集〈6〉碑、頌、チベット』(訳:有田忠郎 水声社 2002)

20世紀初頭のフランス詩人ヴィクトル・セガレンの韻文詩篇集。中国とチベットの古代からの高貴さに包まれた文化風土をフィクションで飾りつつ讃え謳うセガレンの憧憬の歌。有田忠郎の気品ある訳文のおかげもあってか、セガレンの豊かで彫琢された言葉の数々が際立っている。東洋文化の静謐さと雄大さ、静けさと荒々しさのコントラストが、畏敬の念を持った適切な距離感で描き出され謳いあげられているところにいたく感心させられている。

ヴィクトル・セガレン
1878 - 1919

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有田忠郎
1928 - 2012

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