読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-01-27から1日間の記事一覧

野口米次郎「林間夜の夢想」(The Voice of the Valley 1892『渓谷の声』より)

林間夜の夢想 おお休息よ、お前の胸は天国の夢船を碇泊させる。私の追放された魂を迎へて呉れ。森よお前は、無宿の懲役人にさへも平和と自由の富を分ける。私をお前の腕に眠らせよ、私はそこが人間の力で守護される王国の鉄城よりも遙に安全な場所であること…

新見隆監修『20世紀の総合芸術家  イサム・ノグチ 彫刻から身体・庭へ』(2017)

興味の発端は野口米次郎の息子という情報。でも、このブックレット一冊を眺めてみただけでも芸術家イサム・ノグチのほうが存在としては大きいということが感じられる。シュルレアリスム的な活動をしていた時の彫刻や舞台作品はどことなくジャコメッティを想…

野口米次郎「蟋蟀」(Seen and Unseen 1896『明界と幽界』より)

蟋蟀 小川の辺で蟋蟀が鳴き始めると私の詩歌は始まる、 私の詩歌の第二章は静止の曲だ……… さてまた、第三章は何であらうか。 ああ、神様は宇宙一杯の掌を私の原稿紙の上に載せ給ふ。 主よ、この憐れな僕(しもべ)の為めその掌をのけ給へ。 私の願は無駄だつ…