「プラグマティズム」の提言者でありながらウィリアム・ジェイムズの「プラグマティズム」と一緒にされることを嫌って「プラグマティシズム」と別の造語を出して自らの思想を位置づけたパースの姿勢を明確にする著作。
数学嫌いで純論理的思考であるよりも宗教的道徳的美的領域での具体的特殊的結果を重視する多元的宇宙論者のジェイムズと、数学者であり論理学者であり言語や記号による一般法則や普遍者について語る合理的科学的探究者としてのパース。二人の実際の交流は語られることはほとんどないが、パースの多岐にわたる理論的仕事に共通して流れている特徴を、パースの記号論と現象学からしっかり描き出したうえで、パースのスコラ的実在論の独特な立場を強調するように論考の最後でジェイムズとの対比が語られている。これはパースだけでなく、ジェイムズの思想の理解の助けにもなっていて、「プラグマティズム」と呼ばれている哲学の内実についてより良い理解をもたらしてくれるものであるだろうと感じた。
【目次】
まえがき
第一章 記号主義
一 記号学と認識論
二 直感的認識の否定
三 思考――推論的表意作用
四 記号、人間、存在
五 スコラ的実在論
六 パース哲学について
第二章 現象学とカテゴリー
一 科学的哲学
二 現象、記号、現象学
三 三つのカテゴリー――その多面性と不還元性
四 第一次性
五 第二次性
六 第三次性
第三章 記号の概念と分類
一 規範科学としての記号学
二 記号学の体系
三 記号の概念
四 記号分析の原理と方法
第四章 諸記号の概説
一 記号それ自体の在り方――性質記号、個別記号、法則記号
二 記号の表意様式――類似記号、指標記号、象徴記号
三 記号の言明様式――名辞、命題、論証
四 論証の三分法――演繹、帰納、アブダクション
五 アブダクション
第五章 プラグマティシズム――論理的解釈内容、習慣、実際的結果
一 解釈内容の概念
二 論理的解釈内容
三 習慣と実際的結果
四 パースとジェイムズ
五 プラグマティシズムの意味論
【付箋箇所】
2, 9, 19, 20, 22, 25, 26, 28, 32, 36, 37, 48, 71, 74, 76, 78, 89, 107, 117, 127, 177, 178, 189, 192, 196, 204, 205, 216, 222, 223, 230, 237
チャールズ・サンダース・パース
1839 - 1914
米盛裕二
1932 - 2008