読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-02-21から1日間の記事一覧

【謡曲を読む】新潮日本古典集成 伊藤正義校注『謡曲集 中』その2

謡曲を読むと、中世は人の扱いが荒い時代だったのだなと感じさせてくれる。 【桜川】生き別れた母(狂女)と子の再会の劇 なかなかのこと花は今が盛りにて候 またここに面白きことの候 女物狂の候ふが 美しき掬ひ網を持ちて 桜川に流るる花を掬ひ候ふが けし…

野口米次郎「風の一片」(『夏雲』1906 より)

風の一片 若しも私が青海から吹く風の一片であるならば、私は南方の平野に咲く罌子粟(ポピー)のなかに恋愛を捜すであらう、東方の山に輝く太陽に殺された白露の涙を数へるであらう。 若し私が青海から吹く風の一片であるならば、私は沈黙と灰色、さては胸…