読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

前野隆司 『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』(2013)

受動意識仮説を人文的・哲学的に展開した著作。中島道義や永井均への批判的な言説も入っている。
個人的にはロボットについてや科学的な知見をより多めにしていただいたほうが興奮できたと思う。「幸福を得たければ、達人を目指せ」(p226)というのは、そうかもしれないが、「では、達人目指します」とはなかなかいかないし、ほかの人からでも聞けそうな発言だ(例:内田樹、武士道称揚者)。精神論的展開よりも意識の基礎論の充実のほうが重要なのではないかと個人的には感じている。

本当は人間もロボットと同じ自動機械なのだ。外界から知覚刺激が入ると動くに過ぎない。ただ、知情意のクオリアという幻想を持っていることだけが、ロボットと違う点だ。
しかし、それも、幻想。(p156)

機械であれ身体であれ精神であれメンテナンスを怠ると不調をきたすことが多くなるのは変わりないので負荷だけを与え過ぎないようにしていたい。

 

その他の感想:
1.ショーペンハウエル『意志と表象としての世界』が読み進められるかもしれないと思った。
2.『攻殻機動隊』を見直したくなった。

 

付箋箇所:
90, 96, 134, 145, 151, 156, 161, 175, 191, 196, 200, 212, 221, 246

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前野隆司
1962 -