読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

『エッシャー 不思議の秘密』(求龍堂 2023)

2023年12月から2024年9月まで佐川美術館、富山県美術館、豊田市美術館と巡回する日本で開かれているエッシャー展の公式図録。収録図版159点。

特徴は、エッシャーエッシャーとして知られるような非現実的世界の作品を作成する前の時代のより写実的であまり知られていない作品を多く取り上げているところ。写実的ではあるが象徴的な作風にエッシャーの傑出した個性と高度な技術的達成が感じ取れるところがとても新鮮。木版画の板木も一点紹介されているところも、とても興味深い。

エッシャーが人が知るところのエッシャーとなって以降の作品については、数学者にインスパイアされ数学者に特に愛された「幾何学的なパラドクス」の世界についての紹介が解説がとても印象的。裏表紙にも採られた作品「滝」をはじめ二次元でしか表現できない世界の発想源について、数学者ペンローズ親子の不可能図形からの応用であることがしっかりと記述されているとこなどがとても参考になった。ペンローズの不可能図形については突っ込んだ解説はないものの、自分で調べる手がかりをきちんと与えてくれているところには好感が持てる。作品「物見の塔」の「ネッカー(ネッケル)の立方体」についての記述もあるので自分で調べてみることが可能だ。

ja.wikipedia.org

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展覧会で現物を見るのもいいが、図録で時間を気にせず学芸員の解説を読みながらネットを散策しつつ鑑賞するのもいいものである。

www.kyuryudo.co.jp

【目次】
第1章 デビューとイタリア
第2章 テセレーション(敷き詰め)
第3章 メタモルフォーゼ(変容)
第4章 空間の構造
第5章 幾何学的なパラドックス(逆説)
第6章 依頼を受けて制作した作品
・作品解説(英文)
M.C. エッシャーの年表
・主要参考文献
・作品リスト

 

マウリッツ・コルネリス・エッシャーM.C. エッシャー
1898 - 1972

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