批評家吉本隆明の著作の中でもひときわ完成度の高い思考の軌跡をたどることのできる一作ではないかと思う。突出した読み手として在ることと、読むことによって更新された表現の世界(対象)が同時に立ち上がってくるような感覚を味わうことができる読書経験が待っていた。批評の力に触れることのできる一冊。
批評家吉本隆明の凄みに触れる確率がかなり高い。
読書メモ:
道元との関係性への注視
村落の人々との交渉のあり方、脱俗の僧としての自分のあり方と世俗の農村民衆との関わり方で揺らぐ良寛を捉えた視点は独特。戯れにすぎないと思われる愚かしさの相と表裏一体をなしている悟りの上での表現、行動
書に現われた良寛の力の脱きかた、型からの外れかた
労働と遊びのはざまの表現者
おさなごへの関わり
無常と生活のなかで揺らぎつづける表現体としてのあり方。根本的な危うさと根本的な喜びとのバランスのひとつのあり方
【目次】
1 良寛
思想詩;僧侶;隠者
2 「良寛」以後
仏教者良寛をめぐって―野づらゆく行乞の思想
対談者・水上勉)
漱石のなかの良寛
良寛書字―無意識のアンフォルメル
エロスに融ける良寛
【付箋箇所】
2, 17, 18, 22, 28, 30, 32, 38, 45, 50, 51, 55, 61, 62, 64, 70, 82, 112, 119, 128, 142, 158, 161, 170, 174, 175, 177, 194, 207, 212, 215, 220, 233
吉本隆明
1924 - 2012
大愚良寛
1758 - 1831