横山白虹の四女。俳句界では二世、三世が活躍していることがい多い。小さい時から日本固有の短詩型に触れ、その機微を感覚的に身に着け、気負いなく表現できるようになっているところに優位性があるのだろう。ただ、個人によって表現傾向は違ってくるので、個性というものを考えるサンプルにもなってくれている。著者は大学時代に演劇学を専攻していたということもあってか、句に演劇仕立てのようなところをしばしば感じる。
400句から私撰5句
まぼろしの蝶生む夜の輪転機
軍鶏蹴合う百のぼたんの風の中
山姥の酔い倒れたる旱星
鯉の上を亀が泳ぎて五月かな
ギターケース凍てしをがばと抱えゆく
未収録のなかから3句
みどりごに呼吸する大事夏の雨
人体の自在に曲がる螢の夜
人寰や虹架かる音響きいる
寺井谷子
1944 -