読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ノエル・キャロル『批評について 芸術批評の哲学』(原著 2009, 訳:森功次 勁草書房 2017)

「批評とは本質的に理由にもとづいた価値づけである」という主張を軸に据えた分析美学の書。一見当たり前のように見える主張が現代的な批評にあっては逆に忌避されていることを憂慮して書かれた書物であるようだ。

芸術の各種カテゴリーのなかにおける批評対象作品の卓越性をとらえて価値づけることを、著者は批評と定義している。作品のカテゴリー分類を正確に行い、そのカテゴリーにおける作品のはたらきを分析特定し、見るべきものをその意味とともに説明記述していく。

地味ではあるが地に足のついたまっとうな理論であるので、批評の基礎学習の書として有効なのではないかと思う。原著が美学論文として書かれたものではなく、一般向けの書籍として企画刊行されたものであるために、初学者にも優しい内容となっている。

 

www.keisoshobo.co.jp

【目次】
第一章 価値づけとしての批評
 1 導入
 2 価値づけからの撤退
 3 批評の本性と機能 本章の要約
第二章 批評の対象
 1 導入
 2 成功価値vs受容価値
 3 芸術的意図は批評の価値づけに関わるのか:ラウンド1
 4 手短なまとめ
第三章 批評の諸部分(ひとつを除く)――批評はいかなる作業によって成り立っているのか
 1 導入
 2 記述
 3 分類
 4 文脈づけ
 5 幕間:用語法についての注意をひとつ
 6 解明と解釈
 7 分析
 8 ここまでの議論のとても短い要約
 9 芸術家の意図ふたたび:ラウンド2 意図と解釈
第四章 価値づけ 問題と展望
 1 導入
 2 でもそれって主観的なものですよね
 3 批評の原理は存在しない、という意見について
 4 分類(再び)
 5 批評と文化的な暮らし

【付箋箇所】
6, 8, 11, 35, 46, 53, 60, 63, 78, 89, 90, 103, 125, 166, 177, 181, 199, 201, 204, 207, 215, 219, 223, 231, 232, 235, 247, 253, 259, 271, 272

ノエル・キャロル
1947 - 

ja.wikipedia.org