読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

呉茂一のホメロス『オデュッセイア』 全二十四書概要と脳内上演キャスト

ホメロスオデュッセイア
訳:呉茂一


とりあえず通読完了。岩波文庫上下巻。

脳内上演キャスト:

アテーネー : 二階堂ふみ
ゼウス : 吉田鋼太郎
ヘルメース : 染谷将太
カリュプソー : 戸田恵梨香
テーレマコス : 伊藤健太郎
オデュッセウス : 江口洋介
ペーネロペイア : 宮沢りえ
アンティノオス : 塚本高史
メントール : 宇梶剛士
エウリュクレイア : 宮本信子
ネストール : 國村隼
メネラーオス : 唐沢寿明
ヘレネ : 原田知世
ナウシカアー : 杉咲花
アルキノオス : 山口智充
アーレーテー : 和久井映見
ラーオメドーン : 吉沢亮
ポセイダーオーン : 遠藤憲一
キルケ― : 安藤サクラ
テイレシアース : 渡辺篤史
オデュッセウスの母 : 田中裕子
エウマイオス : 阿部サダヲ
イーロス : 桐谷健太
テオクリュメノス : 松尾スズキ
エウリュマコス : 浅利陽介
メランティオス : 大泉洋
ラーエルテース : 田中泯


全二十四書概要:

  行数 呉茂一による要約
第一書   444 神神の集い、アテーネー女神の愁訴、ゼウスはこれに応じてオデュッセウスを二十年目に帰国させると、抑留先のカリュプソーへはヘルメス神を、郷里イタケーの息子テーレマコスには女神自身を遣って勧告させる。
第二書 434 イタケー島での市民らの集会、評定。求婚者たちの横暴に堪えかねたテーレマコスは、主だつ島民の集合を求め、席上ついに彼らの退散を要求、自身は父をたずねてギリシア本土に赴くことを宣言、アテーネー女神の助けを得て夜中ひそかに船出する。
第三書 497 ピュロスでの物語り。老将ネストールの本拠なる西海岸のピュロス市を訪れたテーレマコスはやがて王に面会、その歓待を受け、なお父の消息を求めると、彼の勧めによってメネラーオスの居城スパルテーに向かう。
第四書 847 ラケダイモーンでの一部始終。テーレマコスはネストールの息子を案内役に、スパルテーに着き王城を訪ねる。メネラーオス王も、妃ヘレネ―共々大いに同情して、遍旅中の伝聞などを物語り彼を慰める。一方、イタケーの求婚者一味はその帰路を擁して殺害を図る。
第五書 493 オデュッセウスの筏乗り。女神カリュプソーはヘルメースに促されて拠ろなくオデュッセウスを筏に乗せ島から送り出すが、その筏はやがて暴風におそわれて難破、彼はかろうじて泳いでスケリエー島に辿り着く。
第六書 331 スケリエーでの出来事。アテーネー女神はパイエーケス族の島スケリエーに赴き、夢見で王女ナウシカアーに侍女を連れ河口へゆかせる。疲れて睡ったオデュッセウスはそこで物音に目を覚まし王女と出逢い、伴われて王都に上るが、途中で別れ一人で王宮に入ることとする。
第七書 347 アルキノオス王の館での物語り。王女と別れたオデュッセウスはアテーネー女神の庇護下に人知れず王宮に入り、大広間で不意に王妃アーレーテーの前に現れ援助を懇願する。王と王妃は快く承諾して彼をもてなし、長老たちの面前で送還を約するが、彼の着衣に不信を抱いた王妃はその由来を訊ねる。
第八書 586 オデュッセウス、パイエーケスの一族と交感し、伶人の謡を聞いて落涙のこと。王は島人を集めて送還の支度をはかり、彼への贈り物を請求する。前夜王宮に泊まったオデュッセウスは競技会に臨み、饗宴の席ではトロイア落城の謡に涙を催し、王に素性を問い質される。
第九書 566 アルキノオスの館でのオデュッセウスの物語。王の求めに応じて彼は身の上を明かし、トロイア滅亡のとき船を艤し部下たちを連れ脱出してからの経過を述べる。すなわち出港後数日で暴風にあい諸方を漂流、途中単眼巨人(キュクロープス)の難にあい、辛うじて遁れ出たことなど。
第十書 574 オデュッセウスの漂流譚のつづき。ついで彼らは十二隻の船で風神アイオロスの島に至るが、のち大暴風雨に遭い、食人族ライストリューゴネスの国を経て、魔女キルケ―の島に着いた時、残るのは一隻だけであった。一年の逗留後、その勧めで冥界を訪ねに出発する。
第十一書 640 オデュッセウスの冥界訪問譚。キルケーから指示を受け、彼は冥界の境に到る。そこで亡霊の幽魂を招き寄せて、占者テイレシアースの魄霊から、亡母や戦死した僚友、昔の英雄たちの魄霊にも会う。
第十二書 453 漂流譚のつづき。冥界訪問から戻ると、彼はキルケーから贈り物などを受けて再び船出し、歌う怪鳥セイレーネスや大渦巻カリュプディス、怪物スキュレーなどの危険は免れるが、太陽神の牛を殺して、暴風にあい難破、単身カリュプソーの島へ泳ぎついたのであった。
第十三書 441 オデュッセウスの漂流譚も終りとなる。人々は感にたえて、王の言葉に従い、競って彼に贈り物をし、船に乗せてイタケー島に送りつける。船中で寝入った彼を岸に上げ、財宝を傍の洞穴に収め、彼らが帰った後、目覚めたオデュッセウスは、所在を訝るのを、アテーネー女神が少女の姿で現れ、いろいろと教え諭す。
第十四書 533 豚飼エウマイオスの小屋での物語。女神の勧めに従いオデュッセウスは忠実な豚飼エウマイオスの小屋を訪ねる。もとより二十年を経たうえ、女神の偽装で彼は主人を識別せず、気の毒な外来者として、それでもねんごろにもてなし、食物を与え、身の上を訊ねる。用心深いオデュッセウスは実を明かさず、クレーテー出身の船乗りと偽り、海賊の手に陥ち奴隷に売られ、逃げ出して来た、などと語る。また豚飼の悲嘆を慰め、主人の帰国もかならず遠くはあるまいと断言する。
第十五書 557 テーレマコスも帰国、同じ豚飼の小屋へ来る。予定のとおりまずアテーネー女神はスパルテーのメネラーオスの宮廷にあるテーレマコスの枕もとに立ち帰国を促す。やがて帰途についたテーレマコスはピュロスに戻り、さらに船でイタケーに着く途中、待ち伏せの求婚者たちの眼をくらませ、島端に上陸してエウマイオスの小屋を目指す。みな女神の指図によるもの。
第十六書 481 豚飼の小屋でオデュッセウス父子再開の段。オデュッセウスと豚飼エウマイオスが朝食をとるところへテーレマコスが到着、食事のあとテーレマコスは豚飼を母のもとへ遣わして無事の帰国を告げ報せる。その留守にアテーネー女神のはからいで父子再会、今後の策についていろいろと凝議する。いっぽう豚飼は港についた水夫らと出会い、ともども屋敷への帰国の報をもたらす。求婚者らの狼狽と密議。豚飼は小屋へ帰り。都の様子を語る。
第十七書 606 テーレマコスの帰館。オデュッセウスは乞食の姿で自分の屋敷に戻り求婚者らの凌辱を受けること。翌朝テーレマコスは求婚者退治の段取りを父と相談し、先立って帰宅、オデュッセウスも豚飼と共におくれて時刻を見計らい館に着く。門前で昔の手飼の犬アルゴスに遭うこと。ついで広間に入り、物乞いとして一同の嘲弄を受ける。ペーネロペイアは自宅内での不法を怒り悲しみ、エウマイオスを呼んで乞食を手許に招き、身の上を訊ねようとするが、夕方まで待たされる。
第十八書 428 オデュッセウス、乞食イーロスと拳闘すること。饗宴場に今一人の下司の乞食イーロスが来て、商売敵のオデュッセウスを妬み罵るうちに、求婚者らの使嗾で拳闘をし破られる。この騒ぎにペーネロペイアも広間に現れ彼らと問答、贈物を受ける。夕方となり歌や踊りの後、テーレマコスは彼らをたしなめ帰宅を要求する。
第十九書 604 姿を変えたオデュッセウス、奥方と面会すること、老女洗足の段。オデュッセウスは跡に残って息子テーレマコスと相談、近くにある武器類を納戸に蔵い込ませる。ついで奥方と対面、自分の偽りの身上談をしたうえ、オデュッセウスは近く帰国されようといってその愁嘆を慰める。奥方は彼のため臥床を設けさせ、老女エウリュクレイアに命じて客人の足を洗わせる。老女は足の傷をみとめて、それが主君であるのを覚るが、オデュッセウスは制止して黙っていさせる。
第二十書 394 やがて床についたオデュッセウスは夜明け近くに吉兆に接する。朝となりテーレマコスは町へ出てゆき、エウリュクレイアも広間の掃除に、エウマイオスは豚を三匹つれて来る。いっぽう求婚者どもは凶兆に遭い、広間で腹癒せに乞食姿のオデュッセウスを嘲罵し騒擾する、そして予言者テオクリュメノスの注意と戒めも聞き入れない。
第二十一書 434 弓置きの段。ペーネロペイアは広間へ現れ、オデュッセウスが手馴れの弓を置いて、求婚者どもに腕試しをさせ、十二本の頭に穴のあいた鉄斧をならべて、その眼を射通した者のもとに嫁ごうと宣言する。彼等は大騒ぎでてんでんに弓を執りあげ、弦を掛けようとするがだめである。そこで弓の神アポローンの祭日まで延期というのをオデュッセウスが乞い受けて試み、難なく成功する。
第二十二書 501 求婚者退治の段。つづいてオデュッセウスは次の矢をアンティノオスに向け、彼を射倒す。それから名乗りをあげて一同を叱咤し、エウリュマコスの弁解を退け、次々と彼らを倒すのに、息子テーレマコスも協力する。ただ伶人や伝令また予言者テオクリュメノスらは関係ないので手を触れず、その間にエウマイオスは武具を盗み出すメランティオスを討ち取る。総退治が終ると、彼は乳母を呼んで掃除をさせ、侍女たちを調べて不埒な女たちを仕置する。
第二十三書 372 ペーネロペイア、はじめて夫を確認すること。求婚者どもを全て片づけ終わったとき、館の主オデュッセウスが帰国し奥方をいまお呼びのことを伝えに、乳母は嬉々として奥方の居間へ駆けつけ報せるが、ペーネロペイアは事の意外にとうてい信ぜられない。いろいろ夫を問い訊し、真偽をただして漸く納得できた。やがて夫妻は互いにこれまでの辛労を語りあい寝につく。翌日彼は報告と見舞に老父ラーエルテースを田荘に訪ねにでかける。
第二十四書 548 亡霊の冥界下降、和睦の成立。オデュッセウスの館内で殺害された求婚者たちの亡霊は、ヘルメース神の案内で冥界へゆき、英雄たちの霊にあって事の次第を物語る。一方オデュッセウスは老父を田舎の荘園に訪ね、再会を喜びあう。その間に求婚者たちの親族は報復を企て、群集して荘園に押しかけるが、一応の戦闘ののちアテーネー女神の裁きで和睦をし、平和な町に立ち帰って終る。