聖書
『50の傑作絵画で見る神話の世界』お姉妹篇。 聖書と絵画の組み合わせ企画の類書はかなり多いなかで作品50点での構成というのはすこし少ないかもしれないが、一枚の作品解説にかける分量が多いので、作品ごとに見るべき特徴を幅広く押さえている。「最後の…
フランス王シャルル5世の弟、ベリー侯ジャン1世(Jean Ier, 1340年11月30日 - 1416年3月15日)が生前最後に作らせた豪華装飾写本。完成はベリー公の死後で、制作にあたったランブール兄弟も没した後になる。 ヤン・ファン・エイクも携わった『ベリー公の美わ…
中世末期の彩飾写本のなかでもひときわ美しく規模の大きな時禱書を紹介解説している大型本。カラーとモノクロを織り交ぜ、多くの図版を使って全体図と部分を隈なく取り上げている充実の一冊。もともと一冊であったものが歴史の中で三分割され、そのうちのひ…
聖書に題材をとったレンブラントの作品を見ていると、対象となっている聖書の記述を確認したくなる気持ちにさせられる場合が多くあるのではないだろうか? レンブラントの聖書の場面は、いわゆる聖画一般のイメージとは異なり、描かれている人物たちは貧しく…
ルターのドイツ語訳聖書を読み、青年期にエゼキエル書に描かれた幻視体験に類似した数分間の幻視神秘体験を持ったところから、独自に神学的研鑽を積み、靴職人から神秘的著述家となっていったヤーコプ・ベーメの37歳の時のはじめての著作。専門的に神学や…
「美術は宗教を超えるのか」と問うていて、対談を行なう両者の立場からは、超えられないという道筋はあらかじめ消えている。であるから、どんな場合に美術は宗教を超えるのかという点について注目して読みすすめることになる。 西欧美術・キリスト教の下での…
マニ教から新プラトン主義を経てキリスト教に辿りついたアウグスティヌスによるマタイの福音書「山上の説経」の解釈書。『聖書』は書かれた言葉そのものの相において読むのではなく、象徴的に読み解く必要があることを知ったことから聖書読解に劇的な展開を…
旧約聖書の挿画が155点、新約聖書の挿画が78点。いずれも精緻な木口木版画作品で、聖書の世界に見るものを引き込まずにはおかない傑作ぞろい。「古典文学の世界を、自らが描いた圧倒的な量の画像で視覚的に物語る」というドレが掲げた一大目標のうちで…
カラヴァッジョを最初に凄いなと思ったのは、静物画「果物籠」を中学生くらいのときに画集で見たときだったと思う。テーブルの上に置かれた籠は手に取れそうだし、籠の中のブドウは指でつまんですぐに食べられそうなみずみずしさだ。すこし虫に喰われたとこ…
ビッグバンモデルとの親和性という言説もちらほら見かけているために、創世記では「光あれ」という言葉が最初にあるというようにイメージの書き換えが私の中で起こっていたのだが、実際に読み返してみると、光の前に天も地も水もあって、他の世界創造神話と…
旧約聖書の出エジプト記に取材したシェーンベルクの未完のオペラ。台本だけ完成して楽曲のほうは情勢不安のためドイツからアメリカへの亡命したのちに完成することなく終わってしまう。 普段オペラはほとんど聴くことはないのだが美学者の中井正一が『モーゼ…
今後の人生のよりどころになり得る一冊。エックハルトの神への愛に発する言葉に触れて、信仰のない私のこころも大きく動いた。はじめて聴くような言葉の数々に、世界に接する態度の別の可能性といったものを教えてもらったような気がしている。 エックハルト…
霊界の話。ひとくちに神秘思想といってもいろいろだ。プロティノスの哲学、エックハルトの宗教、そしてシュタイナーの神秘学。一般的に用いられる時の語のニュアンスとはすこし異なるが、シュタイナーが自身の霊学という神秘学の説明をする時にオカルトとい…
130ページまで読んだところで『神の慰めの書』を落として無くしてしまった。高橋和夫の『スウェーデンボルグの思想 科学から神秘世界へ』も無くしているし、、、自業自得。自分の本だったのがまだ救いだ。まだどこかで売っているだろうか。いいところだった…
前回の4連休(2020.07.23~2020.07.26)の際、柳瀬尚紀訳でジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』を読んだ。連休のイベントとして、普段であれば読むことが難しいと思うものにチャレンジするということにしておくと、ふんばりがきいてなんとか…
同一主題の作品を複数並べて紹介してくれているところがありがたい。 マルティン・ルターの肖像:4点ヴィーナス:7点ルクレティア:4点ユディット:5点サロメ:2点 妖艶な姿態に無機質な相貌をもつ妖しい女性象の魅力はもちろんのこと、男性の肖像も、衣装や…
寝転がっている自分の存在が唐突に フローリングのゆかの上におちている塵と なんの違いもなく判別できなくなることもあると 同列併置の思念がはまって動かなくなった途端 ひどく動揺して気分まで悪くなった。 私が塵と変わらない。 おなじ家のゆかの上でお…
原典ノンブルによる進捗:628/628 (100.0%) 2020.07.22(水曜夜)~ 07.28(火曜夕)おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉(芭蕉)循環する小説とされる『フィネガンズ・ウェイク』をワンセット読み通した今、達成感よりもかすかな哀感が滲んできている。それは読…
原典ノンブルによる進捗:501/628 (79.8%) 飲んだら読むな、読むなら飲むな。そんな作品が存在する。 TVショーでのお笑いは、視聴者のセンスがよほど崩壊していない限り酔っていても十分楽しめるけれど、読書においては読み手の読み取りの能力が少しでも減退…
原典ノンブルによる進捗:455/628 (72.5%)文学の世界では「何も書かれていない書物」という極限があって、一方にマラルメの『骰子一擲』、もう一方にジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』がある。極限まで削られた言葉と極限まで多層化されベクトル積算で圧…
進捗:400/628 (63.7%) 第Ⅱ部終了状態でSTAY 異なるフィクション空間での相互干渉を期待して、前回のエントリーで名前を出したティム・バートン『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(1993)のDVDを呑みながら2周くらい観る。フィクションでの本当らしさ…
原典ノンブルによる進捗:400/628 (63.7%) 第Ⅱ部終了『フィネガンズ・ウェイク』の形式はほぼト書きなしの演劇台本みたいなもので、その中身はおおむね聖書のパロディでできている。語られる内容は、飲食と性交と排泄と論争(というかからかい合いとののしり…
原典ノンブルによる進捗:308/628 (49.0%) +2行でSTAY 飲んじゃったら読みすすめられなくなったので、第Ⅰ部終了時にやろうと思っていた、現在の読解環境を紹介。 ジェイムズ・ジョイスが孫に向けて書いたお話をもとにつくられた絵本『猫と悪魔』は、愛すべき…
原典ノンブルによる進捗:308/628 (49.0%) 近代小説は神話やロマンスのパロディとして出てきたものだ。セルバンテスの『ドン・キホーテ』は騎士道物語、フロベールの『ボヴァリー夫人』は恋愛物語のパロディとして成立している。主人公は近代の出版事情から…
原典ノンブルによる進捗:195/628 (31.1%) 『フィネガンズ・ウェイク』の柳瀬尚紀の翻訳が、単純な直訳ではなく、繊細な読解と大胆な日本語化能力を併せ持った人物の手ではじめてなしとげられた驚くべき業績だということは、一般読者層にもストレートに伝わ…
原典ノンブルによる進捗:113/628 (18.0%) 『フィネガンズ・ウェイク』はどんな話かというと、今読んでいる部分(第Ⅰ部)に関しては、アダムっぽい風味付けをされた中年男H.C.Eとイブっぽい風味付けをされたA.L.Pをめぐる評価話みたいなものではないかと思っ…
原典ノンブルによる進捗:74/628 (11.8%) ちょこちょこ検索したりしながら読んだりしているとページ当たり5分くらいかかっている計算になる。四日で読み終わるかどうかちょっと心配。 ※読みながら無季俳句とか作って遊んでいるのも時間がかかっている原因な…
2017年9月から12月にかけて創価大学にて行われた課外連続講座を書籍化。 キリスト教においては、苦難に耐えることと希望がセットになっています。「希望を持つ人は、苦難を克服することができる。また、現実の苦難を耐えることが将来の救いにつながる」とい…
タイトルからわかるように佐藤優に依存した対談。対談の相手は動物行動学研究家を名乗るエッセイストの竹内久美子で、彼女に科学の側の立場を代表させるのはかなり無理がある。リチャード・ドーキンスの発想(利己的遺伝子、ミーム)を自己展開するでもなく…
エーリッヒ・アウエルバッハ『ミメーシス』 筑摩書房 ミメーシス (上) / E・アウエルバッハ 著, 篠田 一士 著, 川村 二郎 著 1946, 1953(英訳), 1967(筑摩叢書版), 1994(ちくま学芸文庫) ホメロスと旧約聖書とにおける文体と世界観の対比。 相対立…