1960年代日本の時事的美術批評集成。
針生一郎(1925-2010)や東野芳明(1930-2005)などの同時代の美術批評家の発言に密接した発言が特徴的な宮川淳(1933-1977)の美術誌掲載のエッセイの集成。
アンフォルメル、反芸術、ネオダダ、ポップアートなどの同時代的な絵画美術について語った熱い言論の軌跡。
苛立ちながら希望を持ちつつ現状を批判している著者の姿勢は、半世紀を超えても古びず本書の中に息づいている。
作家ばかりではなく理論家・批評家が、ブルジョワ的な美術マーケットに対抗意識を出しながら、新たなシーンを作り出そうと格闘していた時代の、現代にもつながっている先端的批評。
むしろわれわれは「芸術は……ではない」という否定形でしか芸術について語れなくなっているのだ。
ぼくの結論がこの世の芸術の終末と感じられたとすれば、それはあなたがなお「永遠の可能性」に憧れているからですが、実をいえば、あの結論が否定的に受けとられるものであることをぼくははじめて知りました。
その当時(そして今もなお)挑発的な存在としての宮川淳の名は突出し極めて特別と言える。
【目次】
アンフォルメル以後
変貌の推移 モンタージュ風に
反芸術 その日常性への降下
“永遠の可能性”から不可能性の可能性へ ヴァレリアンであるあなたに
反芸術以後 美術界の現状と今後
芸術・作品・批評
オブジェの象徴的メタフォア はじめてのジャスパー・ジョーンズ展を見て
絵画とその影
影の侵入
前衛芸術の新しい方向
不可能性の美学
不在の前衛と前衛の不在
ポップ・アート あるいはアメリカ美術の“幸福”
全体性への欲求 タブローから《環境》へ
現代芸術は有効か
千円札裁判私見
絵描きが“機械”になりたがるわけ
芸術の消滅は可能か
透明幻想
手の失権 シンボルとしての機械と手工的な思考
絵を見ることへの問い 〈陳述〉と〈反陳述〉との交錯
絵画における近代とはなにか
一九一二年・パリ
一九四五年・パリ
パリ美術界で成功する方法
【付箋箇所】
48, 63, 76, 105, 110, 118, 122, 126, 138, 185, 198, 243
宮川淳
1933 - 1977
建畠晢
1947 -