読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

花神コレクション<俳句>『中村苑子』(花神社 1994)

俳句17音で異界に出入りする能力を手に入れたかに見える俳人、中村苑子。俳句史のなかでも貴重な存在のひとりだ。

私撰15句

跫音や水底は鐘鳴りひびき
貌が棲む芒の中の捨て鏡
凧(いかのぼり)なにもて死なむあがるべし
黄泉(よみ)に来てまだ髪梳くは寂しけれ
翁かの桃の遊びをせむと言ふ
野は昏れて初蝶帰るところなし
雛の夜の母打つ父を泣いて噛む
一度死ぬふたたび桔梗となるために
父母未生以前青葱の夢のいろ
鍵穴を抜けてたましひ遊ぶ春
蛇の布身ぐるみ抜けて放心す
黄を噴きて老い重ぬるや石蕗の花
人死んで枕残れる大西日
身のなかに種ある憂さや鶏頭花
吹雪く夜の半身すでに雪をんな

 

現代俳句データベース 中村苑子 70句 - 現代俳句協会

中村苑子
1913 - 2001

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