読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

宮栄二『文人書譜6 良寛』(1979 淡交社)

良寛の遺墨八十一点を白黒写真の図版で紹介。解説付き。

良寛は本来、思想や文学を表現する実用の書を真に近代的芸術として展開させた稀有の人であった。良寛以前にあらわれた書の名手・名蹟は数多い。三筆・三蹟はじめ、中世の墨跡、寛永の三筆など、それぞれの書の独創性において人眼を魅了する作品は少なくない。しかし書そのものの芸術性を高め、またその領域を拡げた人は先にも後にも容易に見出しがたいのではなかろうか。(「良寛 人と書」p94)

 「一二三・いろは」双福は別格として素人にも良さが伝わってくるが、多くの草書の良さがよく分からない。誰かよい導き手がいればいいのだが、構成要素が少ない分、水墨画よりもとっつきにくそうだ。楷書は角のないかわいらしい文字で味がある。臨書フォントが販売されていることもうなづける。

 

良寛
1758 - 1831