読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ファインマン + ゴットリーブ + レイトン『ファインマン流 物理がわかるコツ [増補版]』(1961-62年の講義, 原書2006, 岩波書店2015)


ファインマン物理学』に収録されなかった物理が苦手な学生のための四本の補講講義録。物理学をする時の態度をファインマン先生が教授してくれている。暗記だけに頼るのはやめて、手持ちの道具を使って考え、道を切りひらいていくこと。

物理学者のやるべきこと――自然界の新しい法則を見つけ出すこと、産業界の何か新しいものを開発すること、いわばすでに分かっていることをあれこれ言うのではなくて、何か新しいことをやること――そのためにすでにわかっていることから「3点推量法」を使って導き出すことなんです。すなわち、「3点推量法」でまだだれもやったことのないようなものを見つけ出すのです。
(1「これだけは知ってほしい――物理の苦手な学生のための補講A」p31)

自分で考えるのは面倒そうだけれど、ファインマン先生が背中を押してくれている。

 

補講D「力学的効果とその応用」では、ジャイロスコープを使った潜水艦用コンパスの原理を実物を動かしながら解説していて、そこで本来計測機器に発生してほしくはない摩擦などの各種力を計測し補正するフィードバック制御を逐次追加していく必要性を淡々と述べていく姿は、とても印象に残った。面倒くさい仕事を端折らず自分の手で積み上げていくのがファインマンの基本的な姿勢なんだなあと思った。それから、この補講Dでは量子力学角運動量についてもとびとびの値しか持てないということにも触れられていて(p135)、知っていることが一つ増えた喜びもついてきてくれた。

※演習問題は素人なのでスキップ。


目次:

1 これだけは知ってほしい――物理の苦手な学生のための補講A
2 法則と直観――物理が苦手な学生のための補講B
3 さまざまな問題とその解――物理が苦手な学生のための補講C
4 力学的効果とその応用――物理が苦手な学生のための補講D
5 演習問題

[付録]
・『ファインマン物理学』はいかにして生まれたか(マシュー・サンズ)
ファインマンへのインタビュー
・レイトンへのインタビュー
・ヴォクトへのインタビュー
演習問題解答

 

ファインマン, ゴットリーブ, レイトン『ファインマン流 物理がわかるコツ [増補版]』(岩波書店)
https://www.iwanami.co.jp/book/b263123.html

リチャード・フィリップス・ファインマン
1918 - 1988

訳:
戸田盛和
1917 - 2010
川島協