読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ダグラス・ホール『クレー 新装版 <アート・ライブラリー>シリーズ』(原著 1992, 前田富士男訳 西村書店 2012)A4変型判 297mm×232mm

カラー図版48点それぞれにダグラス・ホールの詩的かつ分析的で要を得た解説と、モノクロームの挿図32点、クレーの生涯を描きだしている巻頭エッセイからなる画集。

西村書店の<アート・ライブラリー>シリーズは、比較的多くの作品を高解像度で収録している大きなサイズの画集のなかで、重量がひときわ軽いのが魅力。持ち運ぶのも、手に取って眺めるのも、収蔵するのも楽なわりに、解説も図版の質も極めて高い。値段も2400円と良心的。ただし図版を最大限大きくするために、作品によっては天地の向きが90度半時計まわりになっているものがあるので、注意が必要(解説文の最後に▲で向きを示している)。このことは、天邪鬼な私には、正しい向きで鑑賞しながら違った向きでもクレーの作品を観るように誘っているようにも思えて、本をぐるぐる回して方向変えながら観るようにさせてくれたので、ひとつの利点であるとも考えられる。気軽に向きを変えて作品を観てみることができるのも、本書の軽さゆえのこと。親しみやすいシリーズである。

www.nishimurashoten.co.jp


【付箋箇所】
32, 72, 90, 94, 104, 106, 114

パウル・クレー
1879 - 1940
前田富士男
1944 -