2010年春、府中市美術館で開催された展覧会の図録を再編集した書籍。
収録図版212点。国芳といえばまず猫だが、人間の顔をした魚介系の作品(34,64など)も笑えて楽しい( ´∀` )。
古くから日本の絵は繊細であったが、それは、対象の再現とはまた別なものだった。形や色そのものが放つ味わいや、描かれているものにまつわるストーリーと相まって豊かな情感が感じられる、といった面も大きかったのである。ところが応挙、そして国芳は、それまでは描くべきものとして意識されていなかったレベルの有り様まで捉える、高精度の描写をやってのけた。例えば、人物では「視線」まで描かれ、動物では「ある瞬間の動き」が捉えられている。それによって、絵を見る者は、人間同士の関係や、動物という存在から感じる驚きや抒情、おかしみまで見て取ることができる。つまり、それまでの日本の絵にはなかった「表現領域」が生まれたのである。(金子信久「「描写」に語らせる画家」七-八頁)
1 | 頼朝時代きやうげんづくし |
2 | 源頼光土蜘蛛の妖怪を斬る図 |
3 | 鬼一法眼三略巻 中村歌右衛門の鬼一 尾上梅幸の牛若 |
4 | 諸国名所図画 吉野山 |
5 | あふみや紋彦 |
6 | 春けしき王子詣 |
7 | 大山石尊良弁滝之図 |
8 | 通俗水滸伝豪傑百八人一個 旱地忽律朱貴 |
9 | 通俗水滸伝豪傑百八人之壱人 短冥次郎阮小吾 |
10 | 通俗水滸伝豪傑百八人之一個 活閻羅阮小七 |
11 | 通俗水滸伝豪傑百八人之壱人 混世魔王樊瑞 |
12 | 通俗水滸伝豪傑百八人之一個 智多星呉用 |
13 | 通俗水滸伝豪傑百八人一個 轟天雷凌振 |
14 | 通俗水滸伝豪傑百八人之一個 船火児張横 |
15 | 通俗水滸伝豪傑百八人一個 皷上蚤時遷 |
16 | 本朝水滸伝豪傑八百人一個 早川鮎之助 |
17 | 本朝水滸伝剛勇八百人一個 岩沼吉六郎信里 |
18 | 本朝水滸伝剛勇八百人一個 渡辺源二綱 |
19 | 坂田怪童丸 |
20 | 当流女諸礼躾方 むかひに行やう |
21 | 東都名所 佃島 |
22 | 当流女諸礼躾方 船のりよう |
23 | 東都名所 するがだひ |
24 | 東都三ッ股の図 |
25 | 当流女諸礼躾方 はおりたゝみやう |
26 | 東海道五拾三駅五宿名所(庄野~土山) |
27 | 東海道五拾三駅五宿名所(水口~京都) |
28 | 清月の月 |
29 | 文月の七夕 |
30 | 春の虹げい |
31 | 五行之内 西瓜の水性 |
32 | 大願成就有ヶ滝縞 許由 |
33 | 大願成就有ヶ滝縞 布引の滝 |
34 | 魚の心 |
35 | 忠孝名誉奇人伝 其角 |
36 | 忠孝名誉奇人伝 兼女 |
37 | 二十四孝童子鑑 大舜 |
38 | 二十四孝童子鑑 孟宗 |
39 | 百人一首之内 大江千里 |
40 | 百人一首之内 中納言家持 |
41 | 心学稚絵得(韓信の股潜り) |
42 | 心学稚絵得(福と寿の相撲) |
43 | 江戸じまん名物くらべ こま込のなす |
44 | 金魚にめだか |
45 | えびざこ |
46 | 百種接分菊 |
47 | 子供あそびの内 六月 |
48 | 子供相撲 |
49 | 子供遊八行の内 智 |
50 | 子供遊八行の内 礼 |
51 | 子供あそびのうち 川がり |
52 | 新板子供遊び之内 雪あそび |
53 | 源頼光公館土蜘作妖怪図 |
54 | 里すゞめねぐらの仮宿 |
55 | 荷宝蔵壁のむだ書(黒腰壁・「さやあて」とある図) |
56 | 荷宝蔵壁のむだ書(黒腰壁・「しめたしめた」とある図) |
57 | 白面笑壁のむだ書(「みんなわらつている」とある図) |
58 | 白面笑壁のむだ書(「おちやのこ」とある図) |
59 | 白面笑壁のむだ書(「わらつているかをだ」とある図) |
60 | 絵鏡台合かゞ身(へび・かえる・まいまいつぶり) |
61 | 欠留人物更紗 十四人のからだにて三十五人にミゆる |
62 | 当ル奉納願お賀久面 |
63 | 大漁鯨のにぎわひ |
64 | 竜宮玉取姫之図 |
65 | 大江山酒呑童子 |
66 | 大物之浦平家の亡霊 |
67 | 甲越勇将伝 武田家廿四将 三討死之内 諸角豊後守昌清 |
68 | 木曽街道六十九次之内 御岳 悪七兵衛景清 |
69 | 暑中の夕立 |
70 | 吉野山合戦 |
71 | 那智の滝の文覚 |
72 | 正受院の奪衣婆 |
73 | ひやうばんのばゝやばゝや |
74 | 婢女於竹之説 |
75 | おたけ大日如来略えんぎ |
76 | おたけ大日如来 |
77 | 目出度図会 どふぞよさせたい |
78 | 山海愛度図会 ヲヽいたい |
79 | 艶曲揃 |
80 | 美立こんかい |
81 | 八代目市川団十郎 見連摺物 |
82 | 東西大関俳優 五代目市川海老蔵 四代目中村歌右衛門(歌川豊国と合作) |
83 | 和漢準源氏 乙女 |
84 | 和漢準源氏 野わき |
85 | 和漢準源氏 須磨 |
86 | 本朝武者鏡 がま仙人 天竺徳兵衛 |
87 | 名頭英雄揃 仁 仁田四郎忠常 |
88 | 名頭英雄揃 義 木曽義仲 |
89 | 風流人形 |
90 | 浅茅原一ツ家の図(鉄面一家言) |
91 | 浅草奥山生人形 |
92 | 流行病妙薬奇験 |
93 | 横浜廓之図 |
94 | 横浜本町之図 |
95 | 歌川国芳死絵(落合芳幾画) |
96 | 歌川国芳・芳房死絵(歌川芳富画) |
97 | 忠臣蔵夜討之図 |
98 | 忠臣蔵十一段目両国橋勢揃図 |
99 | 忠臣蔵十一段目夜討之図 |
100 | 仮名手本忠臣蔵 四段目 |
101 | 仮名手本忠臣蔵 八段目 |
102 | 義士の誠忠芳戯 |
103 | 蝦蟇手本ひやうきんぐら 初段・二段目 |
104 | 蝦蟇手本ひやうきんぐら 三段目・四段目 |
105 | 道外てうちんぐら 三段目・四段め |
106 | 誠忠義士伝 大星由良之助良雄 |
107 | 誠忠義士伝 富守祐右衛門正固 |
108 | 誠忠義士聞書之内 討入本望之図 |
109 | 忠臣蔵義士両国橋引取り |
110 | 忠臣義勇鑑 潮田政之丞高教 |
111 | 忠臣義勇鑑 武林貞七隆重 |
112 | 義士真像 吉多仲左衛門兼亮 |
113 | 義士真像 浦松三太夫高直 |
114 | 誠忠義士肖像 箭田五郎左衛門助武 |
115 | 誠忠義士肖像 杉野十平治次房 |
116 | 誠忠義士肖像 矢頭与茂七教兼 |
117 | 誠忠義士肖像 大星由良之助良雄 |
118 | 誠忠義臣名々鏡 相原江助宗房 |
119 | 誠忠義臣名々鏡 間瀬孫九郎正辰 |
120 | 合戦陣取り図 |
121 | 喫煙美人図・反物を持つ美人図 |
122 | 東海道中膝栗毛三島宿図屏風 |
123 | 遊女図 |
124 | 太夫道中之図 |
125 | 立美人図 |
126 | 納涼立美人図 |
127 | 静御前図 |
128 | 宝珠と大黒図 |
129 | 三人上戸図 |
130 | 興津由井図・織部弥平と勝田真左衛門図 |
131 | 十返舎一九像 |
132 | 水を呑む大蛇図 |
133 | 橋と富士山の見える風景図 |
134 | 富士山の見える海岸図 |
135 | 風俗女水滸伝 |
136 | 東都名所 新吉原 |
137 | 東都名所 両国の涼 |
138 | 東都名所 かすみが関 |
139 | 東都名所 洲崎初日出の図 |
140 | 東都名所 てつぽふづ |
141 | 東都名所 浅草今戸 |
142 | 東都名所 両国柳ばし |
143 | 東都橋場之図 |
144 | 東都宮戸川之図 |
145 | 東都首尾の松之図 |
146 | 東都御厩川岸之図 |
147 | 臼井峠より浅間を見る図 |
148 | 近江の国の勇婦於兼 |
149 | 東海道五拾三駅四宿名所(日本橋~神奈川) |
150 | 東海道五拾三駅四宿名所(保土ヶ谷~平塚) |
151 | 東海道五拾三駅三宿名所(原~蒲原) |
152 | 東海道五拾三駅五宿名所(由井~鞠子) |
153 | 東海道五拾三駅五宿名所(赤坂~鳴海) |
154 | 東海道五拾三駅四宿名所(宮~石薬師) |
155 | 東都富士見三十六景 隅田堤の夕富士 |
156 | 東都富士見三十六景 昌平坂の遠景 |
157 | 東都富士見三十六景 新大はし 橋下の眺望 |
158 | 東都富士見三十六景 山王神事 雪解の富士 |
159 | 相州大山道田村渡の景 |
160 | 相州江之島之図 |
161 | 朝比奈小人島遊 |
162 | 相馬の古内裏 |
163 | 鬼若丸と大緋鯉 |
164 | 宮本武蔵と巨鯨 |
165 | 讃岐院眷属をして為朝をすくふ図 |
166 | 五拾三次之内 岡崎の場 |
167 | 五十三駅 岡崎 |
168 | 百物語化物屋敷の図 林屋正蔵工夫の怪談 |
169 | 竹沢藤次 独楽の化物 |
170 | 化物忠臣蔵 |
171 | 道外化もの夕涼み |
172 | 道外獣の雨やどり |
173 | 道外狐へん化のけいこ |
174 | 流行達磨遊ひ |
175 | 絵兄弟やさすかた |
176 | 新良万造 |
177 | 五行之内 針の金性 |
178 | 猫と遊ぶ娘 |
179 | 流行猫のおも入 |
180 | 猫の百面相 |
181 | おぼろ月猫の盛 |
182 | くつろぐ夏の猫美人たち |
183 | 猫の源氏 賢木 |
184 | 流行猫の戯 おしゆん伝兵衛 身の臭ささかりの色時 |
185 | 道外けん なんでもかんでも |
186 | 流行三ツびやうし |
187 | 色真申歳春の寿き お茶のこけん |
188 | つくづくけん |
189 | 諸鳥やすうりづくし |
190 | 雀の百狂 鳥さし |
191 | 似たか金魚 |
192 | 金魚づくし いかだのり |
193 | 金魚づくし ぼんぼん |
194 | 荷宝蔵壁のむだ書(黄腰壁・「これわ大でき」とある図) |
195 | 荷宝蔵壁のむだ書(黄腰壁・「月もといなばの助」とある図) |
196 | 荷宝蔵壁のむだ書(黄腰壁・「さけがのミてへ」とある図) |
197 | 道外十二月 三月ひいなのいさかい、四月初物のあらそい |
198 | 絵鏡台合かゝ身(みみずく・獅子・般若面) |
199 | 其面影程能写絵 おかづり、ゑびにあかがひ |
200 | 嵌め絵 こま |
201 | 両面相 ほてい・あさひな、張飛・せうき |
202 | 両面相 だるま・げどふ、伊久・とくさかり |
203 | 其まゝ地口猫飼好五十三疋 |
204 | たとゑ尽の内 |
205 | 菊川国丸の曲鞠 |
206 | 流行猫の曲手まり |
207 | 猫の当字 たこ |
208 | 猫の当字 ふぐ |
209 | としよりのよふな若い人だ |
210 | 人かたまつて人になる |
211 | みかけハこハゐがとんだいゝ人だ |
212 | みかけハこハゐがとんだいゝ人だ 版木 |
内容:
「描写」に語らせる画家(金子信久)
1 国芳画業の変遷
2 国芳の筆を楽しむ
3 もうひとつの真骨頂
「国芳」という文化(金子信久)
歌川国芳の「空」(音ゆみ子)
作品をより楽しむために―絵の中の書き入れ
歌川国芳
1798 - 1861