読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

府中市美術館編『歌川国芳 ― 奇と笑いの木版画』(2015)

2010年春、府中市美術館で開催された展覧会の図録を再編集した書籍。
収録図版212点。国芳といえばまず猫だが、人間の顔をした魚介系の作品(34,64など)も笑えて楽しい( ´∀` )。

古くから日本の絵は繊細であったが、それは、対象の再現とはまた別なものだった。形や色そのものが放つ味わいや、描かれているものにまつわるストーリーと相まって豊かな情感が感じられる、といった面も大きかったのである。ところが応挙、そして国芳は、それまでは描くべきものとして意識されていなかったレベルの有り様まで捉える、高精度の描写をやってのけた。例えば、人物では「視線」まで描かれ、動物では「ある瞬間の動き」が捉えられている。それによって、絵を見る者は、人間同士の関係や、動物という存在から感じる驚きや抒情、おかしみまで見て取ることができる。つまり、それまでの日本の絵にはなかった「表現領域」が生まれたのである。(金子信久「「描写」に語らせる画家」七-八頁)

 

1  頼朝時代きやうげんづくし 
2  源頼光土蜘蛛の妖怪を斬る図
3  鬼一法眼三略巻 中村歌右衛門の鬼一 尾上梅幸の牛若
4  諸国名所図画 吉野山
5  あふみや紋彦
6  春けしき王子詣
7  大山石尊良弁滝之図
8  通俗水滸伝豪傑百八人一個 旱地忽律朱貴
9  通俗水滸伝豪傑百八人之壱人 短冥次郎阮小吾
10  通俗水滸伝豪傑百八人之一個 活閻羅阮小七
11  通俗水滸伝豪傑百八人之壱人 混世魔王樊瑞
12  通俗水滸伝豪傑百八人之一個 智多星呉用
13  通俗水滸伝豪傑百八人一個 轟天雷凌振
14  通俗水滸伝豪傑百八人之一個 船火児張横
15  通俗水滸伝豪傑百八人一個 皷上蚤時遷
16  本朝水滸伝豪傑八百人一個 早川鮎之助
17  本朝水滸伝剛勇八百人一個 岩沼吉六郎信里
18  本朝水滸伝剛勇八百人一個 渡辺源二綱
19  坂田怪童丸
20  当流女諸礼躾方 むかひに行やう
21  東都名所 佃島
22  当流女諸礼躾方 船のりよう
23  東都名所 するがだひ
24  東都三ッ股の図
25  当流女諸礼躾方 はおりたゝみやう
26  東海道五拾三駅五宿名所(庄野~土山)
27  東海道五拾三駅五宿名所(水口~京都)
28  清月の月
29  文月の七夕
30  春の虹げい
31  五行之内 西瓜の水性
32  大願成就有ヶ滝縞 許由
33  大願成就有ヶ滝縞 布引の滝
34  魚の心
35  忠孝名誉奇人伝 其角 
36  忠孝名誉奇人伝 兼女
37  二十四孝童子鑑 大舜
38  二十四孝童子鑑 孟宗
39  百人一首之内 大江千里
40  百人一首之内 中納言家持
41  心学稚絵得(韓信の股潜り)
42  心学稚絵得(福と寿の相撲)
43  江戸じまん名物くらべ こま込のなす
44  金魚にめだか
45  えびざこ
46  百種接分菊
47  子供あそびの内 六月
48  子供相撲
49  子供遊八行の内 智
50  子供遊八行の内 礼
51  子供あそびのうち 川がり
52  新板子供遊び之内 雪あそび
53  源頼光公館土蜘作妖怪図
54  里すゞめねぐらの仮宿
55  荷宝蔵壁のむだ書(黒腰壁・「さやあて」とある図)
56  荷宝蔵壁のむだ書(黒腰壁・「しめたしめた」とある図)
57  白面笑壁のむだ書(「みんなわらつている」とある図)
58  白面笑壁のむだ書(「おちやのこ」とある図)
59  白面笑壁のむだ書(「わらつているかをだ」とある図)
60  絵鏡台合かゞ身(へび・かえる・まいまいつぶり)
61  欠留人物更紗 十四人のからだにて三十五人にミゆる
62  当ル奉納願お賀久面
63  大漁鯨のにぎわひ
64  竜宮玉取姫之図
65  大江山酒呑童子
66  大物之浦平家の亡霊
67  甲越勇将伝 武田家廿四将 三討死之内 諸角豊後守昌清
68  木曽街道六十九次之内 御岳 悪七兵衛景清
69  暑中の夕立
70  吉野山合戦
71  那智の滝の文覚
72  正受院の奪衣婆
73  ひやうばんのばゝやばゝや
74  婢女於竹之説
75  おたけ大日如来略えんぎ
76  おたけ大日如来
77  目出度図会 どふぞよさせたい
78  山海愛度図会 ヲヽいたい
79  艶曲揃
80  美立こんかい
81  八代目市川団十郎 見連摺物
82  東西大関俳優 五代目市川海老蔵 四代目中村歌右衛門(歌川豊国と合作)
83  和漢準源氏 乙女
84  和漢準源氏 野わき
85  和漢準源氏 須磨
86  本朝武者鏡 がま仙人 天竺徳兵衛
87  名頭英雄揃 仁 仁田四郎忠常
88  名頭英雄揃 義 木曽義仲
89  風流人形
90  浅茅原一ツ家の図(鉄面一家言)
91  浅草奥山生人形
92  流行病妙薬奇験
93  横浜廓之図
94  横浜本町之図
95  歌川国芳死絵(落合芳幾画)
96  歌川国芳・芳房死絵(歌川芳富画)
97  忠臣蔵夜討之図
98  忠臣蔵十一段目両国橋勢揃図
99  忠臣蔵十一段目夜討之図
100  仮名手本忠臣蔵 四段目
101  仮名手本忠臣蔵 八段目
102  義士の誠忠芳戯
103  蝦蟇手本ひやうきんぐら 初段・二段目
104  蝦蟇手本ひやうきんぐら 三段目・四段目
105  道外てうちんぐら 三段目・四段め
106  誠忠義士伝 大星由良之助良雄
107  誠忠義士伝 富守祐右衛門正固
108  誠忠義士聞書之内 討入本望之図
109  忠臣蔵義士両国橋引取り
110  忠臣義勇鑑 潮田政之丞高教
111  忠臣義勇鑑 武林貞七隆重
112  義士真像 吉多仲左衛門兼亮
113  義士真像 浦松三太夫高直
114  誠忠義士肖像 箭田五郎左衛門助武
115  誠忠義士肖像 杉野十平治次房
116  誠忠義士肖像 矢頭与茂七教兼
117  誠忠義士肖像 大星由良之助良雄
118  誠忠義臣名々鏡 相原江助宗房
119  誠忠義臣名々鏡 間瀬孫九郎正辰
120  合戦陣取り図
121  喫煙美人図・反物を持つ美人図
122  東海道中膝栗毛三島宿図屏風
123  遊女図
124  太夫道中之図
125  立美人図
126  納涼立美人図
127  静御前
128  宝珠と大黒図
129  三人上戸図
130  興津由井図・織部弥平と勝田真左衛門図
131  十返舎一九
132  水を呑む大蛇図
133  橋と富士山の見える風景図
134  富士山の見える海岸図
135  風俗女水滸伝
136  東都名所 新吉原
137  東都名所 両国の涼
138  東都名所 かすみが関
139  東都名所 洲崎初日出の図
140  東都名所 てつぽふづ
141  東都名所 浅草今戸
142  東都名所 両国柳ばし
143  東都橋場之図
144  東都宮戸川之図
145  東都首尾の松之図
146  東都御厩川岸之図
147  臼井峠より浅間を見る図
148  近江の国の勇婦於兼
149  東海道五拾三駅四宿名所(日本橋~神奈川)
150  東海道五拾三駅四宿名所(保土ヶ谷~平塚)
151  東海道五拾三駅三宿名所(原~蒲原)
152  東海道五拾三駅五宿名所(由井~鞠子)
153  東海道五拾三駅五宿名所(赤坂~鳴海)
154  東海道五拾三駅四宿名所(宮~石薬師)
155  東都富士見三十六景 隅田堤の夕富士
156  東都富士見三十六景 昌平坂の遠景
157  東都富士見三十六景 新大はし 橋下の眺望
158  東都富士見三十六景 山王神事 雪解の富士
159  相州大山道田村渡の景
160  相州江之島之図
161  朝比奈小人島遊
162  相馬の古内裏
163  鬼若丸と大緋鯉
164  宮本武蔵と巨鯨
165  讃岐院眷属をして為朝をすくふ図
166  五拾三次之内 岡崎の場
167  五十三駅 岡崎
168  百物語化物屋敷の図 林屋正蔵工夫の怪談
169  竹沢藤次 独楽の化物
170  化物忠臣蔵
171  道外化もの夕涼み
172  道外獣の雨やどり
173  道外狐へん化のけいこ
174  流行達磨遊ひ
175  絵兄弟やさすかた
176  新良万造
177  五行之内 針の金性
178  猫と遊ぶ娘
179  流行猫のおも入
180  猫の百面相
181  おぼろ月猫の盛
182  くつろぐ夏の猫美人たち
183  猫の源氏 賢木
184  流行猫の戯 おしゆん伝兵衛 身の臭ささかりの色時
185  道外けん なんでもかんでも
186  流行三ツびやうし
187  色真申歳春の寿き お茶のこけん
188  つくづくけん
189  諸鳥やすうりづくし
190  雀の百狂 鳥さし
191  似たか金魚
192  金魚づくし いかだのり
193  金魚づくし ぼんぼん
194  荷宝蔵壁のむだ書(黄腰壁・「これわ大でき」とある図)
195  荷宝蔵壁のむだ書(黄腰壁・「月もといなばの助」とある図)
196  荷宝蔵壁のむだ書(黄腰壁・「さけがのミてへ」とある図)
197  道外十二月 三月ひいなのいさかい、四月初物のあらそい
198  絵鏡台合かゝ身(みみずく・獅子・般若面)
199  其面影程能写絵 おかづり、ゑびにあかがひ
200  嵌め絵 こま
201  両面相 ほてい・あさひな、張飛・せうき
202  両面相 だるま・げどふ、伊久・とくさかり
203  其まゝ地口猫飼好五十三疋
204  たとゑ尽の内
205  菊川国丸の曲鞠
206  流行猫の曲手まり
207  猫の当字 たこ
208  猫の当字 ふぐ
209  としよりのよふな若い人だ
210  人かたまつて人になる
211  みかけハこハゐがとんだいゝ人だ
212  みかけハこハゐがとんだいゝ人だ 版木

 

www.tokyo-bijutsu.co.jp

歌川国芳 奇と笑いの木版画 東京都府中市ホームページ

内容:
「描写」に語らせる画家(金子信久)
1 国芳画業の変遷
2 国芳の筆を楽しむ
3 もうひとつの真骨頂
国芳」という文化(金子信久)
歌川国芳の「空」(音ゆみ子)
作品をより楽しむために―絵の中の書き入れ

歌川国芳
1798 - 1861