読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

西脇順三郎『T・S・エリオット 新英米文学評伝叢書』(研究社出版 1956, 1965)

詩人で英文学者でもあった西脇順三郎によるT・S・エリオットの詩の研究。西脇自身は詩人としてよりも批評家としてのエリオットに才能を感じているようであるが、本書は主として詩人としてのエリオットを取り上げている。
ラフォルグ、シモンズ、パウンドとの関係のほかにヘンリー・ジェイムズやウォルター・ペイター、クローチェなどにも言及している。ほかにホイットマンとの類似性を指摘しているところなどは意外性もあって新鮮な視覚を提供してくれている。また天国(善)と地獄(悪)の結婚というところからブレイクが参照されていたり、「歴史的にいえばボオドレルとダンテとを結合した文学である」と評しているところなどに評者の鋭い視点が現われている。

詩人が詩人を語ると創作の現場が鮮明に浮き上がってくるという見事な研究例なのではないかと感じた。


【付箋箇所】
10, 12, 15, 19, 24, 29, 32, 48, 56, 59, 62, 64, 77, 78, 89, 91, 92, 140, 142, 147, 150, 154, 157, 159, 175, 182, 190, 205, 211, 212, 216, 217, 219

西脇順三郎
1894 - 1982

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T・S・エリオット(トーマス・スターンズ・エリオット)
1888 - 1965

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