読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

野口米次郎「小さい歌」(『夏雲』1906 より)

小さい歌

 今日幸福な小さい歌が風と共に過ぎゆく。私何処へでもそれを追ふであらう。恰(あたか)も木の葉の小さい声の如く、笑ひながら歌ひながら、幸福な小さい歌は過ぎゆく。
 今日幸福な小さい歌はぱつたり止んだ………白い露は星のしたで落ちる。幸福な小さい歌は平和の家へ急いで眠に就くであらうか。 私は幸福だ、幸福な小さい歌の行く処なら何処へでも行くであらう。

(『夏雲』1906 より)

野口米次郎
1875 - 1947
 
野口米次郎の詩 再興活動 No.028