2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧
全集2には4詩集が収録。『誤解』(1978)『水半球』(1980)『小鳥が笑った』(1981)『スコットランドの水車小屋』(1982) 解説で、こちらも詩人の平出隆が「ぼくは詩が行分けであるためには、一行と一行の間のブランクが深い谷間になっていけないと思うんです」…
戦後も戦後詩もだんだん霞んでいく。熱かったものも拡散して冷えて判別がつかないものになっていく。そんなことを感じながら戦後詩の代表的詩人の田村隆一をよんでいく。 全集1には6詩集が収録されている。 『四千の日と夜』(1956)『言葉のない世界』(1962…
訳者でもある上村忠男が読み解くアガンベンの《ホモ・サケル》プロジェクト。高名な方であるのにかかわらず、瑞々しく真摯な執筆の姿勢に頭が下がる思いがする。 アガンベンの仕事をたどるなか、ベンヤミンからスピノザへ導かれるような感触もあったので、ス…
いれずにいるあいだのこのはだはひどく れいきにびんかんですでいそがしすぎて ずっとずれをかんちするまだらなよろい みをほどくためのしるしをそろえたなら せかいのほうもすこしくずおれてくれる じゆうになったじりょくとじゅうりょく ゆるんだなかあた…
大江健三郎の読書講義。 2006年に池袋のジュンク堂で行われた6本の講演と、同じく2006年に映画「エドワード・サイード OUT OF PLACE」完成記念上映会での講演に手を入れて書籍化したもの。執筆活動50周年記念作。 現代日本の読書人であれば一冊くらい大江健…
やめろといわれてもめろでぃつきのままろうじょうしたいの
農民画家としてのブリューゲルよりも風景画家としてのブリューゲルをネーデルランド絵画の中に位置づけることに力点を置いた一冊。ヤン・ファン・エイクにはじまり、パティニールが転換点となり、ブリューゲルでの充実を見たネーデルラントの風景画。宗教画…
量子力学が簡単に理解できない理由は「量子力学が複素数の世界の力学」(p169)だから、ということを繰り返し論じてくれたところに、本書のいちばんの価値があるのではないかと思った。 【量子力学の要―確率振幅について、『ファインマン物理学』第5巻から…
「ブラックホール」ということばは1967年に物理学者ジョン・ホイーラが公的会議でとりあげらるまでは正式には採用されていない用語で、ファインマンの重力論の講義では「ワームホール」と呼ばれている。漫画やアニメやSFで普通に取り上げられているので、ず…
ネーデルランドの奇想の画家、ヒエロニムス・ボス。全真作20点(+素描数点)。ピンクと青の色彩の組み合わせと、奇妙な形態の生物、植物、建造物は、見るたびにおさまりが悪く、何度も見返して記憶と感覚によく馴染むように努めてはみるものの、見るたび…
『ファインマン物理学』に収録されなかった物理が苦手な学生のための四本の補講講義録。物理学をする時の態度をファインマン先生が教授してくれている。暗記だけに頼るのはやめて、手持ちの道具を使って考え、道を切りひらいていくこと。 物理学者のやるべき…
一般相対性理論の入門解説書。類書よりも丁寧にかみ砕いた解説書になっていると思うのだが、やっぱり素人には何となくしか理解できない。重力によって時空はゆがむ。重力が強いところでは時空がゆがんでいるので、地球のような重力が弱いところから観測した…
アメコミ風味の相対論・量子論の紹介書。他の本を読むための準備運動とか、息抜きの並走書として読むくらいがちょうどよい。それでも10章、11章の量子の世界と宇宙についての文章は、単独でも読みごたえがあるものだった。 量子力学では、粒子を、不確定性原…
振り切れないなあ、と思って読んでいるうちに、けだるさにひたるという読み方に転換。ぬるめの炭酸をだらだら飲んでいるゆるくて安い無益なとらわれのない時間への感度を上げて読む。1919年生まれのアリ・チュマセーロから生まれの早い順に掲載されているよ…
詩人吉増剛造の自分語りを同じく詩人の林浩平が聞き手となって文字起こしした一冊。詩人の誕生から、出版時点での最新作『怪物君』までの全体像を見て取ることができる。「疾走詩篇」(『黄金詩篇』収録)などの勢いのある詩を書いていた40歳くらいまでの作…