2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧
最果タヒ夜空はいつでも最高密度の青色だ2016 リトルモアブックス | 『夜空はいつでも最高密度の青色だ』 最果タヒ 全肯定のすごさに感服します。荒ぶる最果タヒ。ギリシア神話の女神の翼あるコトバのような感じで読んでしまっています。 あってはならないも…
安藤元雄めぐりの歌1999 No 作品 召喚対象 エピグラフ 1 百年の帳尻 小泉八雲 はああれは先頃なくなりました。 2 冬の蛹 ジュリアン・グラック 内側ではどんなにがんじがらめになっとるものか、/とてもわかるまいなあ。 3 血のしみた地 シャルル・ボードレ…
ロバート・フロストフロストの仮面劇編訳:飯田正志 仮面劇として書かれているが、通常のドラマとしての配役を考えながら読んでみた。 道理の仮面劇 A Masque of Reason (1945). 神 ヨブ ティアティラ、ヨブの妻 悪魔(サタン) 「ヨブ記」から発想された「…
マルグリット・デュラスこれで、おしまい訳:田中倫郎1995 マルグリット・デュラス、80歳、最後の書物。切れがあり、芯のある、乾いたコトバが、刻まれている。最後がこれかと思うと、こころが震える。 空の空なるかな。万事空にして、風を追うが如し(旧約…
まど・みちお人性処方詩集 www.heibonsha.co.jp2012 詩はものが存在することにかかわる、と誰かが言っていた。まど・みちおの詩はまさに存在することについての詩だ。 ぼくが ここに いるときほかの どんなものもぼくに かさなってここに いることは できな…
長田弘奇跡 ミラクル www.msz.co.jp2013 全詩集に入っていないかと思っていたら入っていた。記憶はあいまい。忘れるから何度でも読む。読んで、確認して、記憶をたどって過去にも出会う。そうして記憶を重ねていく。 今回のきっかけは、良寛。 今日は単著、…
水上勉良寛1984 徳川の支配の仕組みに組み込まれた宗門を批判的に見る清らかさはあったが、僧としての資質には傷があったという視点から良寛が語られている。曹洞宗の僧良寛というよりも、家を捨て、宗門を捨て、文芸に生きようとした人間山本栄蔵の一生を、…
谷川俊太郎 『こころ』 publications.asahi.com 2013 老いが感じられない。ずっと活力があるとの印象がある。肯定にも否定にもコトバに力がある。輪郭がはっきりとした人生の絵が各詩にあらわれて、鮮やかにピン止めされている。 心は私の私有ではない私が心…
最果タヒ 『天国と、とてつもない暇』 2018 www.shogakukan.co.jp 感覚がゆらぐ。比喩の妙で離人症的な感覚が出現しているような気がする。 「甘い」と「眠い」は感覚として、よく似てるね。 55あいまいになる、プラスチックになる 15 私たちは蒸発をし続け…
加藤治郎 噴水塔(歌集) www.hanmoto.com 2015 文芸にかかわる人間としても、本職のシステムエンジニアとしても、大分上の領域にいらっしゃる方だと認識してはいても、著者の作品がどうしても響いてこない。『サニー・サイド・アップ』のころからとりあえず…
江川隆男 超人の倫理 <哲学すること>入門 www.kawade.co.jp 2013 スピノザ解釈が衝撃的。とくに第二章の「精神と身体は並行していると考えること」のなかの「物体は身体であり、身体は物体である」(p91~96)は衝撃的で、そこで主張されている内容にはなか…
D.H.ロレンス とり、けもの、はな 詩集編:文殊杉2005 Birds, Beasts and Flowers (1923)の翻訳。原文はこちらで見れます。Project Gutenberg Australia: http://gutenberg.net.au/ebooks09/0900321.txt サカナ ( FISH )、男対コウモリ ( MAN AND BAT )…
四つのギリシャ神話 (『ホメーロス讃歌』より)訳:逸身喜一郎, 片山英男1985 www.iwanami.co.jp ホメーロスを読むにしろ、ギリシャ神話に接するにしろ、手ごろなボリューム感。一篇あたり50ページくらい、文字がゆるく組まれているので、30分もあれば…
辻惟雄×村上隆 熱闘!日本美術史 2014 www.shinchosha.co.jp ニュー「絵合せ」の成果、21回分。傾向としては、正統というよりも異端、前衛。表出するエネルギーを感じやすい作品が多い。とくに受け側に立つ村上隆の気合いをひしひしと感じる。工房を運営し続…
穂村弘短歌の友人 単行本:http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309018416/ 文庫本:http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309410654/ 2007(単行本) あらためて短歌のプロなんだなと認識させてくれる批評のコトバの数々。 抜き書きメモ: 短歌という器に…
久須本文雄寒山拾得 bookclub.kodansha.co.jp 原文、読み下し文、現代語訳、訳注のほか白隠の注釈も多く紹介されています。寒山詩は思想的に道教、儒教、仏教が混じっているようです。 100. 生死の譬を識らんと欲せば 且らく氷水を将って比えん水結べば即ち…
良寛歌集東郷豊治編著※『良寛歌集』編、創元社、1963 序より この歌集は、直接、真跡によることを第一とし、博捜して、なお遺墨をさがしえなかった詠歌には、孫引きした署名を掲げ、一首ごとに出拠を明記した。 ※長歌を含む 編者により84の項目に分類され…
良寛道人遺稿番号,良寛詩集頁,原文一行目1,295,開口謗法華2,296,如是両字高著眼3,296,白毫相光何所似4,297,文殊高々峰頂立5,297,度生已了未生前6,298,性相体力作因縁7,298,十方佛土在指注8,299,諸法本来寂滅相9,300,昔時三車名空有10,300,昔時三車名空伝11,3…
『良寛道人遺稿』と『良寛詩集』 対応資料 良寛道人遺稿 柳田聖山 訳 良寛道人遺稿|全集・その他|中央公論新社 読み下し文と訳で構成。原文はなし 訳注 良寛詩集大島花束・原田勘平 訳注 訳註 良寛詩集 - 岩波書店 原文と読み下しと訳注から構成。 現代語…
良寛訳注 良寛詩集大島花束・原田勘平 訳注 www.iwanami.co.jp 大島花束編著の良寛全集(岩波書店)の漢詩全部(四百余)を収録。原文と読み下しと訳注から構成されている。 無一物の生涯とはいうが、信仰する法華経があって、詩書があって、自作の和歌は千…
良寛良寛道人遺稿柳田聖山 訳 良寛道人遺稿|全集・その他|中央公論新社 曹洞宗の禅僧、道元の系列、良寛の漢詩。読み下し文と訳で構成。原文はなし。柳田聖山の訳が読みやすく、解説も熱く、良寛初読に向いていると思う。 柳田聖山解説: 『毒語心教』にし…
楚辞(屈原) 集英社 漢詩体系3 楚辞1967 訳・解説:藤野岩友 読書では漁夫の漁夫側の肩を持つ性向があるため、屈原にはなかなか近づけないでいる。 屈原紀元前343頃 - 紀元前278年頃 藤野岩友1898 - 1984
穂村弘水中翼船炎上中 bookclub.kodansha.co.jp 「あとがき」より: 私の言葉はまっすぐな時の流れに抗おうとする 短歌5選: カブトムシの角をつかめばかちゃかちゃと森の光をかきまわす脚ブラウン管にぺたっとつけた足の裏 みんみんみんみんみんみん蟬が夕…
石黒浩 どうすれば「人」を創れるか アンドロイドになった私2011 石黒氏は発想が特異だ。最先端で研究している人の発想を覗き見れることは一般人には刺激的だ。たとえば「人間のミニマルデザイン」「最小限の人間を作るという発想」などということは文字面だ…
安村敏信 くらべてわかる若冲vs応挙 http://k-bun.co.jp/con_art_01.html 若冲が凄いのは知っていたが、円山応挙がこれまた凄い。この本では勝っている印象すらある。この本がきっかけで応挙の単著がたくさん出てくるようになればうれしいことだ。 28の対…
空海 性霊集日本古典文学大系71 三教指帰 性霊集渡辺照宏・宮坂宥勝 校注 性霊集全10巻の内容についての資料 表形式で整形カラムの定義第1カラム:巻数第2カラム:作品番号第3カラム:詩の有無第4カラム:題 遍照發揮性靈集 巻第一 1 1 〇 山で遊むで仙…
空海 性霊集日本古典文学大系71 三教指帰 性霊集渡辺照宏・宮坂宥勝 校注 性霊集全10巻の内容についての資料 CSV形式で整形カラムの定義第1カラム:巻名第2カラム:作品番号第3カラム:詩の有無第4カラム:題 1,1,〇,山で遊むで仙を慕ふ詩 併序1,2,〇,秋…
空海日本古典文学大系71 三教指帰 性霊集渡辺照宏・宮坂宥勝 校注 図書館物件 性霊集十巻読み下し文で通読。総ルビなので読めた。感嘆。ため息が出た。 巻第八72 招提寺の達嚫の文一首 より心暗きときは即ち遇う所悉く禍なり、眼明らかなれば道に触れて皆宝…
NHK取材班『空海の風景』を旅する2002, 2005 『空海の風景』を旅する|文庫|中央公論新社 留学資金を自費で賄った空海、山の民に通じた空海という二つの視点が印象的。また、各所にちりばめられた空海にまつわる写真が新鮮。空海密教のパワーを映像で伝えて…
梅原猛最澄と空海 日本人の心のふるさと2002, 2005 www.shogakukan.co.jp 良書。日本の土着信仰、山岳信仰と融合した密教という視点が濃厚。空海の部から最澄の部へと読み進めたほうが上記視点はよく感じとれる。また、厳格な戒律と修行による即身成仏の教え…