読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

仏教

前野隆司 『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』(2013)

受動意識仮説を人文的・哲学的に展開した著作。中島道義や永井均への批判的な言説も入っている。個人的にはロボットについてや科学的な知見をより多めにしていただいたほうが興奮できたと思う。「幸福を得たければ、達人を目指せ」(p226)というのは、そう…

前野隆司 『錯覚する脳 ─「おいしい」も「痛い」も幻想だった』(2007)

受動意識仮説について二冊目の本。意識がイリュージョンであり、視覚情報が脳の生成物であることを強調した著作。最後は仏教の「空」に科学の知見から近づいていっている。 付箋箇所:30, 46, 57, 69, 88, 103, 130, 134, 201, 214, 215 目の誕生以前の世界…

オイゲン・ヘリゲル『日本の弓術』(1936)

ドイツ神秘主義のマイスター・エックハルトが説いた「離繋」(りけ Abgeschiedenheit)の探求のため仏教にも関心の領域を広げていたヘリゲルが、日本の大学に招かれ来日した際に仏教精神を分かち持つ弓道を習い、求道の果てに武士道の精神に到達したということ…

九鬼周造『時間論』1928年パリ近郊ポンティニーでの二講演

九鬼周造40歳での講演であり、最初の著作。粋で瀟洒な雰囲気をもつ九鬼周造だが、実際の著作を読むと意外に熱い魂にふれることができる。原文はフランス語。小浜善信による翻訳。 Ⅰ 時間の観念と東洋における時間の反復 (1928.08.11) 武士道は意志の肯定…

東郷豊治編著『良寛詩集』創元社

東郷豊治編著 良寛詩集創元社1960※1957年の良寛全集版を修正 本文、読み下し文、訳の三部で構成。全詩を十章に分類して配列(ただし法華讃は取り上げられていないようである)。 現代語訳あり分類ありで、とても親しみやすい。 内容: 章 章題 作品番号 一 …

永井均 『西田幾多郎 <絶対無>とは何か』

永井均西田幾多郎 <絶対無>とは何か www.nhk-book.co.jp 2006 永井均による西田幾多郎。 西田にとって、言葉は取り去るべき「人工的仮定」にすぎない。P38 感想:取り去るのは極端に難しいと思う。 一般的にいえば、他者(私と同じ種類の他の者)の成立と…

白洲正子 祈りの道

白洲正子 祈りの道編:白洲信哉 www.shinchosha.co.jp 2010 豊富な写真が美しい。白洲正子の鑑識眼にかなった作品は、どれもとげがなく丸みを帯びていて麗しい。日本的な柔らかな繊細さの一番いい部分をコレクションしたのではないかと思わせる。「お能とい…

加島祥造+板橋興宗 『タオと禅』

加島祥造+板橋興宗タオと禅 禅とタオ 「今、ここ」を生きる - 佼成出版社 2012 加島祥造の一番の仕事は老子の英訳本からエッセンスを取り込んだ日本語訳『タオ 老子』で、彼自身の詩『求めない』などにはない尽きない魅力がある。その違いは何であろうかと長…

水上勉 『良寛』

水上勉良寛1984 徳川の支配の仕組みに組み込まれた宗門を批判的に見る清らかさはあったが、僧としての資質には傷があったという視点から良寛が語られている。曹洞宗の僧良寛というよりも、家を捨て、宗門を捨て、文芸に生きようとした人間山本栄蔵の一生を、…

久須本文雄 寒山拾得

久須本文雄寒山拾得 bookclub.kodansha.co.jp 原文、読み下し文、現代語訳、訳注のほか白隠の注釈も多く紹介されています。寒山詩は思想的に道教、儒教、仏教が混じっているようです。 100. 生死の譬を識らんと欲せば 且らく氷水を将って比えん水結べば即ち…

東郷豊治編著 良寛歌集

良寛歌集東郷豊治編著※『良寛歌集』編、創元社、1963 序より この歌集は、直接、真跡によることを第一とし、博捜して、なお遺墨をさがしえなかった詠歌には、孫引きした署名を掲げ、一首ごとに出拠を明記した。 ※長歌を含む 編者により84の項目に分類され…

『良寛道人遺稿』と『良寛詩集』 対応資料 (CSV形式)

良寛道人遺稿番号,良寛詩集頁,原文一行目1,295,開口謗法華2,296,如是両字高著眼3,296,白毫相光何所似4,297,文殊高々峰頂立5,297,度生已了未生前6,298,性相体力作因縁7,298,十方佛土在指注8,299,諸法本来寂滅相9,300,昔時三車名空有10,300,昔時三車名空伝11,3…

『良寛道人遺稿』と『良寛詩集』 対応資料 (表形式)

『良寛道人遺稿』と『良寛詩集』 対応資料 良寛道人遺稿 柳田聖山 訳 良寛道人遺稿|全集・その他|中央公論新社 読み下し文と訳で構成。原文はなし 訳注 良寛詩集大島花束・原田勘平 訳注 訳註 良寛詩集 - 岩波書店 原文と読み下しと訳注から構成。 現代語…

訳注 良寛詩集

良寛訳注 良寛詩集大島花束・原田勘平 訳注 www.iwanami.co.jp 大島花束編著の良寛全集(岩波書店)の漢詩全部(四百余)を収録。原文と読み下しと訳注から構成されている。 無一物の生涯とはいうが、信仰する法華経があって、詩書があって、自作の和歌は千…

良寛道人遺稿

良寛良寛道人遺稿柳田聖山 訳 良寛道人遺稿|全集・その他|中央公論新社 曹洞宗の禅僧、道元の系列、良寛の漢詩。読み下し文と訳で構成。原文はなし。柳田聖山の訳が読みやすく、解説も熱く、良寛初読に向いていると思う。 柳田聖山解説: 『毒語心教』にし…

空海 性霊集 目次(表形式)

空海 性霊集日本古典文学大系71 三教指帰 性霊集渡辺照宏・宮坂宥勝 校注 性霊集全10巻の内容についての資料 表形式で整形カラムの定義第1カラム:巻数第2カラム:作品番号第3カラム:詩の有無第4カラム:題 遍照發揮性靈集 巻第一 1 1 〇 山で遊むで仙…

空海 性霊集 CSV資料

空海 性霊集日本古典文学大系71 三教指帰 性霊集渡辺照宏・宮坂宥勝 校注 性霊集全10巻の内容についての資料 CSV形式で整形カラムの定義第1カラム:巻名第2カラム:作品番号第3カラム:詩の有無第4カラム:題 1,1,〇,山で遊むで仙を慕ふ詩 併序1,2,〇,秋…

空海 性霊集

空海日本古典文学大系71 三教指帰 性霊集渡辺照宏・宮坂宥勝 校注 図書館物件 性霊集十巻読み下し文で通読。総ルビなので読めた。感嘆。ため息が出た。 巻第八72 招提寺の達嚫の文一首 より心暗きときは即ち遇う所悉く禍なり、眼明らかなれば道に触れて皆宝…

NHK取材班 「『空海の風景』を旅する」

NHK取材班『空海の風景』を旅する2002, 2005 『空海の風景』を旅する|文庫|中央公論新社 留学資金を自費で賄った空海、山の民に通じた空海という二つの視点が印象的。また、各所にちりばめられた空海にまつわる写真が新鮮。空海密教のパワーを映像で伝えて…

梅原猛 『最澄と空海 日本人の心のふるさと』

梅原猛最澄と空海 日本人の心のふるさと2002, 2005 www.shogakukan.co.jp 良書。日本の土着信仰、山岳信仰と融合した密教という視点が濃厚。空海の部から最澄の部へと読み進めたほうが上記視点はよく感じとれる。また、厳格な戒律と修行による即身成仏の教え…

渡辺照宏+宮坂宥勝 『沙門空海』

渡辺照宏+宮坂宥勝沙門空海1967, 1993 筑摩書房 沙門空海 / 渡辺 照宏 著, 宮坂 宥勝 著 基本図書。生涯全般を追える作品。 気になった点:・空海につづく人物が宗門から出こないことについて空海以後において、彼の真言密教はほとんどいかなる意味において…

上山春平 『空海』

上山春平空海1992 (品切れ・再販未定)再販希望図書館物件 朝日新聞出版 最新刊行物:書籍:空海 良書。本書は研究書的な位置づけにある著作ではあるが、司馬遼太郎の『空海の風景』に匹敵する小説的著述としてのパワーがある。衝撃度的には本書のほうが上…

宮坂宥勝 『空海 生涯と思想』

宮坂宥勝空海 生涯と思想1984, 2003 筑摩書房 空海 生涯と思想 / 宮坂 宥勝 著 著者の空海関連のエッセイ18篇を集めたもの。空海本一冊目ではなく、興味を持ってからのつまみ食い本、復習本としての利用が吉。 おすすめは日本仏教史上における空海 最澄と…

梅原猛 『空海の思想について』

梅原猛空海の思想について1976, 1980 bookclub.kodansha.co.jp 肯定する空海の強調。100ページで一挙に核心に連れて行ってくれます。『生命の海 「空海」 仏教の思想〈9〉』所収の「死の哲学から生の哲学へ」よりも、空海の個別の著作によりそいながら彼…

宮坂宥勝+梅原猛 『生命の海 「空海」 仏教の思想〈9〉』

宮坂宥勝+梅原猛生命の海 「空海」 仏教の思想〈9〉1968, 1996 www.kadokawa.co.jp 密教の再発見 対談:宮坂宥勝+梅原猛 隠れた真相があるというのが、やはり秘密じゃないかと思うのです。近代的な意味の神秘主義ではないんですけれども、そこに、何かとらえ…